PCBの行き先ウェーク島に決まる


5月6日の米大使館発表によれば、横浜ノースドックに保管されているPCB廃棄物はウェーク・アイランドに運ばれることになった。5月18日までにノースドックから搬出されるとのこと。
CIAの "The World Factbook 1999"によれば、ウェーク島は米国領で、最も高い地点が海抜6メートルの珊瑚礁の島だ。原住民はいない。以前米軍兵士が駐留していたが、現在は引き揚げて民間人が残っているだけだ。3000メートル級の滑走路の飛行場があるが、港はない。ただし、沖泊まりで大型船が停泊できる投錨地が2つあるとのこと。
米大使館の発表では、約100人の米陸軍と契約した民間人がいて、主に陸軍のミサイル発射支援施設で働いているとのこと。要するに米軍関係者以外は住んでいない、孤島ということだ。
NHKの報道によれば、グアムの副知事がPCBのグアム受入れに反対する書簡をクリントン米大統領に送った際に、「PCB廃棄物を処分のために米本土に搬入することは、米国法により禁止されている。米領土のグアムにもその法律は適用されるのではないか」と述べたという。同じことはウェーク島にも言えるのではないだろうか。米軍関係者しかいない、というのがPCB処分の隠れ蓑になっているのではないか。
また、CIAはウェーク島の自然災害の項目で台風被害をあげている。海抜最高6メートルの環礁にPCB汚染物を運び込んで、台風が来たときに冠水による環境への影響の恐れはないのだろうか。
ウェーク島は在日米海軍基地との関わりのある基地でもある。三沢基地や厚木基地から米軍の対潜哨戒機がウェーク島に飛ぶ。また岩国に展開する海兵隊のFA18が米本土に戻るときの中継地としても利用されている。最近では4月1日に米海軍の輸送機が厚木基地からウェーク島へ飛んでいる。
横田や厚木から空輸する可能性もないこともないが、今回の大使館発表ではMSC(米海上輸送軍)が運ぶとのこと。横浜ノースドックから直接船積みされるのだろう。連休明けのノースドックの艦船の出入りを注目したい。
なお、相模補給廠に残っている高濃度のPCB廃棄物や、国内の米軍基地に蓄積されているPCB汚染物を、今後どの様にして処理するのかという大問題には、依然手が付けられていないことも強くアピールしたい。
(相模原市議 金子ときお)

'2000-5-06|HOME|