米シアトルの沖仲士組合、PCB荷揚げ拒否
相模補給廠から搬出されたコンテナ14個分

(AP通信、00.4.8星条旗新聞より)(抄訳)
シアトル発−PCB汚染物を日本の米軍基地から運んできた船の荷揚げが4月6日に予定されていたが、訴訟と罰金の恐れで延期となった。ペンタゴンのスポークスマンによれば、この船はシアトルに4月5日に入港したが、トランス、電気機器部品、オイルなど、コンテナ14個、110トンの廃棄物を運んできた。この廃棄物は相模補給廠から出たもので、カナダに拒絶されたのでシアトルに一時保管される予定だった。
環境保護団体が、告訴の意志と荷揚げ1日につき2万5千ドルの罰金の可能性を表明したために、地元の沖仲士組合連合会の委員長が、この積み荷の荷揚げを拒否した。委員長によれば、組合は荷揚げ契約者の Stevedoring Services of America (SSA)社の指示を待っている。SSA社の幹部は訴訟の脅しは気にしないで、環境保護庁の許可を待っている。この船は「Wan He」号で、3月23日に横浜を出港して、バンクーバーに向かう予定だった、とDRMOのスポークスマン、マーフィーは語った。
カナダ政府が拒否した後で、国防総省は環境保護庁からシアトルの倉庫への一時保管の許可をとった。
日本本土や沖縄の米軍基地から出た今回のPCB汚染物は、50PPM以下のものだ。それらはカナダでは輸入・処分許可が不要のものだ、と以前マーフィーはドイツにあるDRMO本部との間でEメールを交換している。
「国防総省、環境保護庁、処理契約受託社のトランス・サイクル・インダストリー社との間の細かな調整は6日現在出来ていない。廃棄物は、30日保管の詳細が詰まるまでは陸揚げされない」と環境保護庁のスポークスマンは語っている。
ワシントン州知事は、30日以内に最終処分地は決まるだろうと述べた。「廃棄物はなるべく早く出ていってほしい。この廃棄物は外国で発生したものだ。ワシントン州のかかえる問題ではない」
トランス・サイクル・インダストリー社は、全てを国防総省に任せた。
グリーンピースは、廃棄物は日本から船積みされるべきではなかった、と語った。「環境保護庁が明らかに違法な許可を出したら大変なことになる」と有害物質の輸送を全世界規模で追跡しているバーゼル・アクション・ネットワークのシアトルのメンバーは語っている。
以上が、星条旗新聞に掲載されたAP通信配信記事の抄訳だ(見出しは当編集部でつけたもの)
カナダが受け入れるはずだった、50PPM以下のPCB汚染物も拒否された。相模補給廠の倉庫の中には、もっと高い濃度のPCB汚染物が保管されている。バーゼル条約で移動が制限されているこれらの汚染物を、米軍がどのように処理するのか、我々もしっかり監視をしていくが、相模原市や神奈川県、環境庁などの積極的な行動が必要だ。(金子ときお)
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