実戦部隊が訓練しないBCTC!?


赤枠内が戦闘指揮訓練センター(BCTC)の「整備予定地」(写真は 08.2.10 撮影)

相模補給廠に内の米陸軍戦闘指揮訓練センター(BCTC)建設予定地が通告されたが、その位置を補給廠の俯瞰写真に落とすと、上掲 の位置となる。
米軍の定めた区域名によれば、113,114の2区画だ。下の写真(左)は取り壊される前の 113-S3 の建物が、そして右の写真には 114-S1,114-S2 の建物が写っている。
Google Earth で相模補給廠のこの部分を拡大していくと、建物の敷地のあとが読み取れる。今は更地で、土地の状態は下の写真の空き地 のような土と草地になっている。

相模原市への「施設整備に係る情報提供」の中で、「戦闘指揮訓練センターとは、コンピューターシミュレーション機能を備えた指揮所 演習の実施を支援する施設。実働部隊が訓練を行うのではなく、主として在日米陸軍の各級部隊の司令部要員による指揮所演習を支援 するもの」という南関東防衛局の回答要約が付け加えられている。

この施設が戦闘訓練とは関係ない、とでも言わんばかりだが、既設の米本土やハワイのBCTCでどんな訓練が行われているかを見れば、 「シミュレーション、コレクティブ・トレーニングが実働訓練とともに陸軍の訓練の3本柱である」ことははっきりしてくる。
イラクに展開する命令を受けている第一軍団司令部は、それに先立ち2週間の最終訓練を昨年11月、フォートルイスのBCTCで受 けた。その最後に陸軍参謀長は3月からのイラクでの第一軍団の歴史的な任務を果たす能力に、深い満足を表明した。(2008.11.4 Army news)

ローテーションで戦争に向かう部隊が、その前に実戦レベルに能力を高め直すのが米陸軍の訓練体系の基本だ。そして直前までBCTC で訓練を行い、上級司令部の査察を受けて戦闘能力のレベルに達したと認められないと戦場には出られない。
防衛省はBCTCの戦闘遂行能力を高める機能をぼやかしたいがために、まるで軍内部のカルチャーセンターみたいなもの、とでもいい たげな「回答」を地元の自治体に寄せてくる。

在日米軍でははじめての施設であっても、世界中の米陸軍で行われていることを学べば、防衛省が言うような「演習支援施設」とはかけ 離れた、まさに実戦と同じ事を繰り返し叩き込む、これなしには米陸軍の訓練が立ち行かなくなる施設なんだ、ということがはっきりし てくるのだが。

(RIMPEACE編集部)

[関連ページ]
相模原市・議員提供資料  戦闘指揮訓練センターの予定地と工事期間(金子ときお)(09.1.30)


建設予定地の13年以上前の姿。旧軍の施設と見られる古い大型倉庫などがまだ残っていた(95.4.30 撮影)


2009-2-11|HOME|