相模補給廠、土壌汚染疑惑の建設予定地はどこに?

相模補給廠内に建設が予定されている「訓練支援センター」の建設業者募集が、応募要項を出したあとで、土壌汚染(contamination of soil)の恐れがあるため、という理由でこの6月末にいったんキャンセルされた。

相模原市が南関東防衛局から米軍(キャンプ座間渉外部)へ問い合わせたところ、以下の回答があった。
・ 建設予定地の地中を地上から調べたところ、地中に鉄くずのような金属と思われる物が埋まっている可能性が考えられることから、念のため、建設工事に当たり、しっかりとした地中の調査を実施することとした。
・ 建設業者募集のキャンセルについては、この調査を行うことによりスケジュールが間に合わなくなることによるものである。
・ いずれにしても、この調査は通常の建設工事の一環であり、現段階で、土壌が汚染されている、という事実はない。

また、この件で新聞社から問い合わせを受けた在日米陸軍基地管理本部のエドワード・ローパー渉外部長は、
「補給廠内で昨年12月、焼夷(しょうい)弾が出たことなどから、今回の建設予定地も調査を進めている」
「地上から金属探知機で調べたら反応があり、念のため地中を掘り返す」
「調査実施のため、日程上間に合わなくなり、業者募集をキャンセルしたのが(入札延期の)理由。8月中に調査を終え、問題なければ入札日程を決める。現段階で土壌汚染は認められない」と答えた(2010.7.21 神奈川新聞)

訓練支援センター建設工事受注の募集要項(RFP)は、09年10月末に事前公告がなされ、手を上げた業者へのRFPの配布は同年12月初めに行われた。
先行して建設が進んでいた戦闘指揮訓練センター(BCTC)の建設現場の土中から焼夷弾がみつかったのが、訓練支援センターのRFP配布直前で、その爆破処理が行われたのが配布直後の時期だった。
そして2010年1月中旬に、RFPで指定された入札期日が無期限延期となった。

RFPを配布して1ヶ月半で入札期日の無期延期というのはそんなにある話しではない。ましていったん出したRFPをキャンセルするなどというのは、よほどの理由がない限り応募企業が納得する話しではない。RFPに対して提案書を作って入札に備えるのは、人・金・時間がかかるからだ。

入札が無期延期になったのは、別の工事現場で地中から焼夷弾が出たため、訓練支援センター建設予定地の地中の調査を行うため、というのが今回なされた米軍側の説明だ。一見まともな説明だが、時間の要素を考慮すると眉にツバをつけなければならなくなる。

入札期日が無期延期されたのは1月のことだ。すでに応募する態勢を取っている業者に対しても、また完工までのスケジュールへの影響を考えても、建設予定地の調査はなるべく早く始めなければならない。
1月の時点で始めてしかるべき調査が、米軍によればまだ進行中で、結論が出るのは8月だという。
米軍の説明によれば「通常の建設工事の一環」であるという調査に半年以上かかっているのはなぜだろうか。

また、「現段階で土壌汚染は認められない」(ローパー部長)という認識だったら、なぜ6月末時点で「土壌汚染の可能性」のためにRFPをキャンセルしたのだろうか。
そもそもRFPのキャンセル理由にある「日程上間に合わなくなる」の日程については、すでに1月の時点で入札時期は無期延期されている。入札時期に縛られて募集要項を見直す必要など初めからないのだ。

1月に開始されたはずの建設予定地の調査が未だ終わっていないこと、「現段階で土壌汚染は認められない」といいつつ「土壌汚染の可能性」を理由にRFPを撤回しなければならなかったこと、など、一皮向けば米軍の説明は矛盾だらけだ。
なぜこのようなボロボロの説明になったのか、そのナゾを解く「仮説」を提出しよう。

『1月に、予定していた敷地の調査を始めたら土壌が汚染されている、もしくはその可能性が強いことが判明した。このまま工事を進めるかどうかの検討に時間がかかった。そして別の場所に建設することにしてその場所の土壌を調査中だ。新しい建設予定地には、これまでのところ土壌汚染は認められない。建設場所が明記されているRFPはいったんキャンセルして新RFPを8月以降に配布する』

この「仮説」が当を得ているかどうかはともかく、米軍の説明に何かが隠されていることは確かだ。昨年12月の時点での訓練支援センター建設予定地の位置、RFPをキャンセルする理由に挙げられている「土壌汚染の可能性」の根拠の2点を公表すべきだ。

相模補給廠内で汚染された可能性の強い土地が、そのまま放置されるようなことがあってはならない。

(RIMPEACE編集部)


訓練支援センター建設地の調査のきっかけとなった、焼夷弾90発が出てきた場所。戦闘指揮訓練センター建設現場だ。
(10.1.14 金子豊貴男・相模原市議 撮影)


2010-7-27|HOME|