「ヤマサクラ87」の第1軍団の車両等、横浜NDから帰国(2)
2024年12月19日、民間トレーラーで横浜ノースドックに搬入された移動式衛星通信ターミナル(STT:Satellite Transportable Terminal)(24.12.19 星野 撮影)
横から見たSTT(24.12.20 星野 撮影)
「1 CORPS」(第1軍団)と書かれているのが分かる(24.12.20 星野 撮影)
折りたたまれているSTTのアンテナを広げると、このようになる。
米軍画像サイトDVIDS、2021年7月2日付け記事「414th Signal Company conduct training on satellite transportable terminal [Image 3 of 4]」より引用
https://www.dvidshub.net/image/6719058/414th-signal-company-conduct-training-satellite-transportable-terminal
STTを複数並べて設置して使うこともあるようだ
米軍画像サイトDVIDS、2023年3月3日付け記事「Dialed In [Image 2 of 3]」より引用
https://www.dvidshub.net/image/7665969/dialed
今回横浜ノースドックに運び込まれたSTTは3基だった(24.12.21 星野 撮影)
昨年12月16日以降、米陸軍第1軍団の車両や資材が横浜ノースドックに運び込まれ、12月29日に貨物船アライド・ブルックリン(ALLIED BROOKLYN)に積み込まれた。
アライド・ブルックリンは12月30日に横浜ノースドックを出港し、米国のタコマに現地時間の1月15日に入港した。
横浜ノースドックに運び込まれたそれらの第1軍団の車両や資材は、既に以前の記事に書いたように、昨年12月2日から14日にかけて実施された日米豪共同指揮所演習「ヤマサクラ87」で使用されたものだった。
演習は相模総合補給廠でも行われ、横浜ノースドックに運び込まれたのは、相模総合補給廠で使用された車両や資材だった。
今回の記事では、横浜ノースドックに運び込まれた車両などの中から「ヤマサクラ87」演習の目的を果たす上で重要な役割を果たしたと考えられるものを2つ、紹介する。
まず1つ目は、トレーラーに載せられた3基の移動式衛星通信ターミナル(STT:Satellite Transportable Terminal)だ。
これは折りたたみ式の大型衛星アンテナであり、ハンビー等の車両などでけん引して、戦地をはじめとするさまざまな場所に運ぶことができて、苛酷な環境での衛星通信を可能とするための装備だ。
昨年12月19日から29日にかけて横浜ノースドックに並べられていた3基のSTTには、近くに並べられていた軍用トラックと同様に「1 CORPS」(第1軍団)と記されていた。
「ヤマサクラ87」について防衛省は、米・日・豪の「共同指揮所演習」として発表しているが、米陸軍第1軍団HPによれば、今回の「ヤマサクラ87」は日本からハワイ、アラスカまでの17のタイムゾーンにわたる米陸軍のWFX(Warfighter Exercise)(戦闘員演習)と統合して行われた演習だ。
米陸軍第38防空砲兵旅団の司令部のある相模総合補給廠がこの演習の「舞台」の一つとなったということは、相模総合補給廠の旅団司令部が広域でのミサイル発射等の指揮を行ったということではないだろうか。
そして、STTは、それを支える衛星通信システムの基盤となったのではないだろうか。
さて、今回の記事で紹介する2つ目のものは、2台のストライカー装甲車だ。
他の車両や資材とともに12月29日に貨物船に積み込まれるまでの間、2台のストライカー装甲車が、大さん橋や「みなとみらい地区」からは見えないように倉庫の建物の陰に隠すようにして置かれていた。
この2台のストライカー装甲車にはいずれも、車体上部に長方形の大きな箱のようなものが取り付けられていた。
どうやらこれらの2台は、車体上部の箱の上にレドームのようなアンテナを取り付けて使用する、モバイル型の衛星ネットワーク通信機能を強化したタイプのストライカー装甲車のようだ。
これらの強力な衛星通信機能を備えた改造ストライカー装甲車を、「ヤマサクラ87」では具体的にどのように使用したのかは明らかではないが、米陸軍第1軍団HPには、数年前の「ヤマサクラ」と見られる演習で、飛行機や艦船で移動する、同型の改造ストライカー装甲車から指揮統制を行ったことを報告する記事が掲載されている。
おそらく今回の「ヤマサクラ87」でも、これらの改造ストライカー装甲車は、ミサイル部隊における分散型の指揮統制のインフラとして使用されたのではないだろうか。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)
2024年12月20日、横浜ノースドックの建物の陰に隠すように置かれていた2台のストライカー装甲車(24.12.20 星野 撮影)
車体前部の「1 CORPS」(第1軍団)の表示がはっきりと見える。2台とも、車体上部の向かって右側に長方形の大きな箱のようなものが取り付けられている(24.12.20 星野 撮影)
車体上部の長方形の箱のようなものの上にレドーム型のアンテナを付けたストライカー装甲車
米軍画像サイトDVIDS、2015年6月2日付け記事「Soldiers make, 'better, faster decisions' due to Army modernization [Image 1 of 2]」より引用
https://www.dvidshub.net/image/1972688/soldiers-make-better-faster-decisions-due-army-modernization
C17輸送機から降りる衛星通信機能強化型の改造ストライカー装甲車。引用元の米太平洋陸軍HP記事によれば、「ヤマサクラ83」演習の一コマのようだ
米太平洋陸軍HP2022年12月15日付け記事「I Corps distributed command and control framework flourishes in Indo-Pacific」より引用
https://www.usarpac.army.mil/Our-Story/Our-News/Article-Display/Article/3250308/i-corps-distributed-command-and-control-framework-flourishes-in-indo-pacific/
2台のストライカー装甲車の貨物船への積み込み作業は12月29日に行われた。ふ頭からクレーンで吊り上げられた1台目のストライカー装甲車(24.12.29 星野 撮影)
吊り上げられたストライカー装甲車は、空中で向きを変えて船倉の中に降ろされていった(24.12.29 星野 撮影)
吊り上げられた2台目のストライカー装甲車(24.12.29 星野 撮影)
2台目のストライカー装甲車も、空中で向きを変えて船倉に降ろされていった(24.12.29 星野 撮影)
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