相模補給廠のパイプライン備蓄と沖縄の石油部隊



内陸部石油輸送システムを収めたコンテナとポンプセット

在日米軍の沖縄駐留部隊の中に、第505品質管理大隊という部隊がある。石油の補給管理が任務の部隊だ。在日米陸軍紹介ページによれば、米陸軍の内陸部石油輸送任務の一部を担っている。
これまでの在日米陸軍のアニュアルレポートでは明確になっていなかった任務だ。この沖縄の部隊は、毎年行なわれている米本土の予備役の海外動員・石油取り扱い訓練のホスト役だ。訓練内容には石油ターミナルやパイプライン実習が含まれている。毎年夏、沖縄に300〜500人の米兵(予備役)が動員されて、この演習を行なっている。
第505品質管理大隊は、パイプライン中隊5個をコントロールできる。これは内陸部石油輸送システムのパイプライン450マイルを敷設、5箇所の石油ターミナル、30箇所の内陸部石油輸送システムのポンプステーションを稼動させる戦力に等しい。(同ページより)内陸部石油輸送システムは、パイプやポンプ部分、照明器具などがコンテナに分けて納められ、いざと言うときに船に乗せて移動できるようになっている。石油供給に必要なポイントから何百マイルも離れた海岸に下ろし、パイプラインとポンプステーションを組み立てて内陸部のポイントに石油を届けるシステムだ。
このシステムが2セット、相模補給廠に1300個のコンテナに納められて野積みされている。このコンテナの存在と沖縄での毎夏の予備役動員演習がワンセットだったのだ。
内陸部石油輸送システムは、朝鮮半島での戦闘に備えて(グリーンブック95−96)相模補給廠に運び込まれた。第35補給管理大隊のページによれば、この内陸部石油輸送システムを納めたコンテナ1300個のほかに、移動病院設備4セット(各500床)、架橋資財21セットなどが相模補給廠に保管されている。
移動病院セットの展開演習は、昨年相模補給廠内で行なわれた。MEDEX2000演習だ。大きな装備をいつでも使えるように訓練を繰り返すのは軍隊の常識。MEDEX演習も昨年1回だけにとどまらずに、また相模補給廠で行なわれる可能性は高い。さらには、架橋セットを展開する演習だって、同補給廠の空き地を使って行なわれることも考えられる。陸軍の演習と備蓄の関係をみることで、個別の基地だけを見ていてはなかなか見えづらい動きが読めてくる。



架橋セットと見られる資材

'2001-7-19|HOME|