極東科学技術センターって何者?

 在日米陸軍の基地内紙トリイの7月13日版に、相模補給廠の一角に陣取る陸軍極東科学技術センターの記事が出ていた。小人数だが調査対象や責任地域は広い、という書き出しで、ユニフォームから武器、弾薬、戦車、航空機などあらゆるものを調査して米本国に報告する、とある。アジア太平洋地域の科学技術の発展に関する情報を収集することが任務だとのこと。

 対象地域には韓国、台湾、インドシナ、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシアが含まれる(もちろん日本も)。これらの地域の産業界の人間に会ったり、学会や博覧会などに出かける。米陸軍ではヨーロッパにもうひとつあるだけの珍しい組織だ。
極東科学技術センターには、軍人、民間の科学者が一緒に仕事をしている。ドクターが3人、マスターと学卒が9人ずついるとか。決して小人数ではない。

 もう一つの大事な仕事が、日本の同業者、つまり自衛隊との密接な協力関係の維持だ。予算の削減で、多くの科学技術分野で金をつぎ込む解決方法がとれなくなってきたので「別の手法での解決策を日本人たちと共同で探りたい」のだそうだ。
相模補給廠の西門から少し入ったところにある、古い木造の建物に陣取る彼らは、軍事技術収集の専門家なのだ。

 在日米陸軍のホームページからたどれる陸軍各部隊の紹介の中に、極東科学技術センターもとりあげられている。彼らの専門分野として次の14項があげられている。
航空システム、生物医学分野、化学、通信システム、電子工学、装甲技術、情報システム、材料工学、
冶金工学、ミサイルシステム、核・生物・化学システム、兵器システム、物理学、補給システム。


「秘密情報の90%は公開情報の組み合わせで得られる」とどこかのスパイ小説か何かで読んだことがある。木造兵舎から技術情報を探る産業スパイの軍隊版、などと勝手な想像をしてしまうのも、これだけ条件がそろえば仕方ないことだ。


極東科学技術センターの紹介ページに出ていた彼らの責任地域

'2001-7-16|HOME|