「純子の見聞録」元気ネットワーク2000年4月
水道の漏水対策
佐世保市の2000年の当初予算を審査する3月定例会が終わりました。ご報告する事は 山ほどあり、論議が集中したものについてはすでに新聞紙上でご存じの事と思い ますので、今回は水道事業、特に配水管の漏水対策についてお知らせしたいと思 います
佐世保市においては毎年、老朽配水管の布設替え費用として10q、5億円と いう目安で予算化されています。平成6年の未曾有の渇水による財政悪化で、そ の予算も圧縮傾向にありましたが、今年約6億円が予算計上されました。しかし 漏水量は一向に減っていません。きれいに消毒された300万t〜400万tの 浄水が何処ともなく消えてしまっています。この量がどれくらいの量なのかなか なか想像出来ないと思いますが、佐世保市民全体で毎日約8万t〜9万t、年間 約3000万tの水を使います。厳密にいうと簡易水道利用の方、未だ水道の恩 恵に与れない未給水地区の方を除いた量ということになります。ちなみにわが市 には6つの貯水池がありますが、一番貯水能力のある川谷貯水池に次いで大きい 菰田貯水池の年間取水量は420万tとなっています。つまりはダム一つ分の漏 水があるともいえます。
佐世保市の水道事業の歴史は古く、明治22年海軍鎮守府開庁以来、軍用水道 施設として整備が進められ、その浄水を分与してもらい市直営の人夫さんが桶で 供給した明治36年に始まります。水道管による供給が始まったのは明治41 年、市の初めての浄水施設として山の田浄水場が完成したのが大正15年、昭和 に入ってからも海軍の膨張と人口の急増に伴って水道事業は拡張され、昭和15 年菰田水源地完成。そして昭和20年終戦を迎え、海軍が解体されるに伴って膨 大な軍用水道施設が市に移管され、昭和25年旧軍港市転換法によりその一切が 市に無償譲渡されました。
その後も施設整備が進み、現在配水管の総延長はなんと約700qを越えていま す。歴史が古いだけその老朽管の割合は大きく、40年以上13.2%、30年以上 7.1%、20年以上27.7%、10年以上26.5%となっています。配水管の耐用年数は 約40年といわれてが、一概に破損の原因は老朽化ばかりとはいえないそうです が、やはり主要な原因となっています。1年で約10qの布設替えをやったとし ても追いつかず老朽化はますます進む事になりますが、国庫補助のない中で市単 独では予算配分上やむを得ないという説明です。
渇水に悩んだわが市は水源開発に力を入れています。中長期計画の中で現在下 の原ダムのかさ上げ事業、石木ダム建設に取り組んでいます。そう単純な事では ないとしても、ダム1つ分の漏水の対策費用もままならない中で、ダム建設をす すめる事に大いなる矛盾を感じています。公営企業として独立採算を基本に運営 されている水道事業はこれらの費用がすべて水道料金に跳ね返ってくることにな ります。
2000-4-3|HOME|