「純子の見聞録」元気ネットワーク2000年5月
今、思っていること
2期目も1年を経過しました。1期目の1年位経過した頃同様のテーマで書いた事が あります。現実が少し分かってきた今、理想と現実の間で揺れ悩む気持ちを少しお伝 え出きたらと書き始めたのですが、様々な立場の受け手にどのように情報が伝わるか を考えると遅々として筆が進みません。すっかり編集の方にはご迷惑を掛けてしまい ました。
政治の大先輩が幾度となく「政治とは一に情、二に利害、最後に理屈ですよ」と繰 り返されます。お聞きするたびに私は頑なにそうではないのではないかと聞き流して いました。情に棹させば窮屈になる事は言うまでもありませんが、情に流され馴れ 合ってきた政治だったからこそ信頼を欠いたのではないかと考えてきたからです。ま たある政治学者が「政策実現に必要なものは一に情熱、二に理論、最後の手段として 顔」と言われるのを聞いたこともあります。議員の顔で権力を行使するのではなく、 やはり理論構築が重要であると強調され、その事に共感していました。議員は名誉職 か専門職かという論議がありますが、可能な限り専門職にならなければと考える私 に、ある先輩議員は現状の地方議会のシステムでは経験上そんな事は不可能だろうと 時間的にも無理だろうと、議員になりたての頃言われたこともあります。しかしこれ まで自分なりにやれるところまでやってみようと頑張ってきたつもりでいます。
最近、自分のやっていることが成果につながらず、裏目に出る事ばかりが続き、1 期目やってきた事は何だったのか、やはり私は政治との向き合い方が間違っていたの ではないか、現実にそぐわない方法論ではなかったのかと、冒頭の「一に情」「議員 は名誉職」という長い経験に裏打ちされた言葉を今重く受け止めています。
ある行政マンは、橋本さんが言うのは分かるけど議員はやっぱり名誉職と言い切り ます。様々な事業の推進には市民の協力と合意が必要です。分かりやすい例でいうな ら用地買収など市民の合意を得ていく過程は気の遠くなるような努力が要ります。地 域の顔役である議員が介入するとスムーズにいく、あるいはその逆もあるわけです。 行政担当者は議員に頼る事により事業が進み、その見返りに議員の言うことを聞く。 極端にいうと顔役的役割を果たせない議員の言うことなど聞く必要はないし、市民も 情に訴え、顔で無理をきかせてくれる議員を望んでいる。このような村型社会はそう 簡単には崩れないというのです。
結果を急ぎ過ぎる私に「あなたは情が無さすぎる」「あなたが言うからやったわけ ではない、誰それに頼まれてからやった」等々周囲の皆さんにご注意を受けている現 実を聞き流し続ける事は出来ないのではないだろうか。軌道修正の柔軟さがあるかど うかも含めて政治を志す者の能力とするならば、現在の私にはその能力に欠けている と言わざるを得ません。
2000-5-3|HOME|