「純子の見聞録」元気ネットワーク2001年1月
「よりよい介護保険制度にするために」
12月議会において介護保険制度の低所得者への対応として現段階では保険料減免など 考えていないという市長の意志が示されました。又減免を求める請願が出されました が、議会の意志として賛成少数で否決されました。長崎市議会においても同様の論議 がありましたが、結果は何らかの対応策を取るというものでした。
公的介護保険制度スタート後8ヶ月が経過し、利用者1割負担による利用自己抑制 の問題、また10月からは1号被保険者いわゆる65歳以上の方からの保険料徴収が半額 から始まり保険料滞納の問題が出てきています。普通徴収のうち保険料ランク1〜3 段階までの第1期分の滞納者はわが市では3割弱で、それよりも高所得者の滞納が4 割以上あったとして、当初低所得者の方のほうが生活の厳しさから納められないだろ うと推測していたが、そうではなかった。これは制度の理念が相当浸透している事の 傍証ではないか。低所得者対策は介護保険制度の中で解決すべきものではなく、総合 的な社会保障制度の中で論議されるべき問題であると言う市長答弁でした。
介護保険制度では原則としてすべての高齢者が保険料を負担し、保険料負担がない のは生活保護受給者のみです。ですが現実には生活保護認定基準より低い所得で受給 していない例は多く、負担能力がない人から保険料を徴収する事が出来ないという理 由で国の指導にも関わらず、やむを得ず独自の保険料減免に踏み切る市町村が増えて います。もちろん資産や家族の扶養義務等、所得だけで負担能力を測る事は出来ませ んが、現実に厳しい状況にある事例があることをわが市の生活保護担当職員も認めて います。
急速に進むわが国の少子高齢社会への早急な対応として、介護保険制度は多くの問 題を抱えながらもスタートしました。それは走りながら考え、問題があれば柔軟に見 直す対応が用意されていることが前提であったはずです。制度をよりよいものにする ために、あるいはまたサービスの質を高めるために、相談窓口や苦情処理機関に寄せ られた市民の声に行政はしっかり耳を傾け、その背景にあるニーズを読みとらなけれ ばならないと思っています。市民サイドにおいても、行政に依存しない自主的な チェックシステムについて、知恵を出し合って取り組んでいく必要があると思ってい ます。21世紀の半ばまで高齢化が進行し、一方少子化の進行で人口構造は大きく変化 します。少子高齢化問題は21世紀のわが国の大きな課題です。