「純子の見聞録」元気ネットワーク2001年6月
佐世保市が許可し、市内で操業するある産業廃棄物処理業者に漸く改善勧告書が4月24日付で出されました。これまで幾度となく立ち入り調査や口頭勧告が繰り返されてきましたが、一定の改善は見られるものの違法行為はエスカレートし、周辺の環境への影響が危惧されていました。これらは私が 議員になるはるか以前から指摘されていた問題であるにもかかわらず、なぜ指導が徹底しないのか、どうして違法と認めつつ許可が更新されるのか、今回の行政の対応に関わる中で考えた事を少しまとめてみたいと思います。
大きな要因として社会の変化が早く、関係法が後追いになっている状況があります。ごみの多様化あるいは環境保全への市民ニーズの高まり等に法制度はついていけてない。加えて次々に改正される法に行政の監督責任を果たなければならない自治体の対応は遅れ、引いては民間事業者の対応もそれにも増して遅れるということになります。
様々に用意された行政の監督権限の発動に自治体が二の足を踏む大きな理由ですが、ひとつには対象の事業所が機能しなければ市民の経済活動に大きな影響が出ることが考えられるということです。先に挙げた問題とも関連しますが、佐世保市は産業廃棄物に関して政令市の位置づけにあり、独自の産業廃棄物施策を用意してこなかった責任を問われる事になります。こういうと行政当局から多くの反論がある事でしょう。現在のような地方分権意識の高まる中で言える事であり、今も実質的な権限委譲がなされていない中でどうしろというのかという反論です。
産業廃棄物政策の不備についてはここでは措くとして、ふたつ目の自治体の対応の遅れの要因ですが、行政の監督には膨大な人員と費用が必要になることです。これまで私は議会質問を繰り返す中で、廃棄物行政に関する個々の佐世保市の実態が掴めていないことを痛感しています。私が考えるほど情報が掴めていない訳ではないと思いますが、私を含めた市民への情報公開の範囲ではそう思うわけです。当然様々なごみの不適正処理は処理業者ばかりの問題ではありません。ごみを出す業者、自己処理する業者、不法投棄を含めた違法な事柄をどのように監視し、監督権限を平等に全ての違法者に行使するのか、その行政コストをどう考えるのか、これらの問題も厳格に対応出来ない大きな理由のひとつだと考えます。
相互に関連することですが、事業者を保護する立場と規制する立場の両方に行政は立っているという問題です。中央省庁で問題になっている保護官庁と摘発官庁の分離の問題と同じ構図が見えてきます。
行政の監督手法には自治体によって様々な工夫が考えられています。その前提はやはり住民自治であり、それには市民参加と情報公開が重要であることを毎度の事ですが重ねて言いたいと思います。併せて今回の行政の勧告処分の対応は勇気ある一歩だと考えます。その内容にはやや手ぬるさを感じていますし、実効性についても疑問を持っています。しかし、勧告に対する対応如何によっては民事訴訟、代執行も含めた措置も辞さないとの説明がありました。 最後にお知らせを一つ。私のホームページが漸く出来ました。訳も分からずに作り、恥ずかしげもなく公開しました。ご覧になってご意見・ご指摘を頂ければと思っています。
橋本純子(佐世保市議)