「純子の見聞録」元気ネットワーク2002年3月


「障害者の完全参加と平等」

横浜市総合リハビリテーションセンターを訪問しました。JR新横浜駅から繁華街を通り抜け、歩いて10分のところにあります。そこは多くの公共施設が集中していて、目的の訪問が終わった後、周辺を散策してみました。隣接の巨大施設は次期ワールドカップサッカー大会の会場となっている国際競技場です。現在も周辺の道路等基盤整備が急ピッチに進められています。またその隣には障害者スポーツ文化センター「横浜ラポール」があり、ふらりと入ってみました。

 国連の1975年「障害者の権利宣言」、1981年「国際障害者年」、その翌年から始まり1992年までの「国連障害者の十年」、そしてその翌年わが国においては障害者基本法が制定されました。 そこに共通して流れるテーマは端的には「完全参加と平等」です。しかし私はこの言葉を繰り返し使いながら果たして十分に消化していたのだろうか、どこかで諦め切っていたのではないかと横浜市総合リハビリテーションセンターと横浜ラポールを訪れて考え込んでしまいました。

「横浜ラポール」はスポーツと文化の複合施設です。多くの利用者で賑わっていました。ウイークデーにもかかわらずなぜこんなに多くの利用があるのか、大都市ということを差し引いても不思議です。アポイントはありませんでしたが、お願いすると快く施設の概要を説明していただけました。

 一日の平均利用者延べ数は約1300人。障害者優先施設であって障害のない人も約4割の方が利用しています。障害者の利用は無料になっていますが、通常利用料は500円。これではどこにでもある公共施設とあまり変わりありませんが、大いに異なっていることはそのサポート体制にあります。誰でも利用出来る新横浜駅からの無料シャトルバスが周辺の公共施設を含めて巡回しています。しかも男性の運転助手が添乗し昇降のお手伝いをしてくれます。施設の職員には体育の教員免許を持ち、障害者スポーツ研修を終了した専門家が23名も配置されているということです。その他の分野のスタッフも充実しているようです。また隣のリハビリテーションセンターには福祉機器開発のための福祉工学の専門家が9名配置されていますが、その事業と連携して障害者のスキーそりを開発された事例を聞くことも出来ました。

 帰りのシャトルバスを待つ間、脳血管障害で閉じこもりがちだったという男性が喜々として「ホッチャ」というスポーツルールを説明してくれるのですが、なかなか理解できないで困らせてしまいました。障害者施設の団体利用者でしょうか、そして障害のない方も混じってバスは超満員の状態で発車しました。いま改めて障害者の自立観、完全参加と平等について問い直しています。

橋本純子(佐世保市議)

 

2002-3-5|HOME|