「純子の見聞録」元気ネットワーク2002年4月
「形つくって魂入れず」
3月定例会が終わりました。
上程議案に対して原則所属委員会以外の議案に対して質疑が許されます。各会計毎に例年2日間の質疑日程が組まれています。毎年多くの議員が質疑に立たれるのですが、今年は通常と違って私を含め3人の議員が質疑したに留まり、両日とも午前中でその日の日程は終了してしまいました。私は7年間で6回の当初予算審議を経験しましたがこんなことは初めてでした。「なぜだと思う?」とある方に伺ってみましたら「1期目の議員さんも3年間の経験を積まれ疑問点がなかったからでしょう」という答えが返ってきました。その言葉尻を捕らえるなら、7年の経験を持つ私がまだ分からないことだらけということになり、馬鹿さ加減を露呈したことになります。反論させていただくなら「政治とはそういうものよ」とすべての議員が訳知り顔で、物分り良くなったら、ますます市民の皆さんにとって政治が見えなくなってしまいます。長年の慣行として議案に対してわが市では会派ごとに議案研究会なるものがあり、上程議案について行政当局より一定の説明を会期前に受けることになっています。ですから質疑のパフォーマンス的側面を否定しませんが、会派の勢力によっては議案研究会の情報格差も確かなように思います。原則質疑は通告なしで行われますし、ケーブルテレビの中継もやられていませんので、個人質問よりパフォーマンス的色彩は少なく、返ってこの質疑をテレビ中継すれば多くの議員さんが質疑されるようになり、多くの市民の皆さんにとって身近に議会審議が目に留まり、議会が活性化するのではないでしょうか。議会を形骸化させてならないと思っていますし、そのためにも透明性が重要だと考えています。
今議会の私の質疑の主なものは新たに設置された児童交流センターにかかる条例案、これは初めて地元住民の皆さんの自主運営に任されることになるわが市にとっては画期的なものです、加えてようやく改正される個人情報保護条例案等々についてでした。また個人質問では「佐世保市まちづくり出前講座の状況と課題について」を取り上げました。この質疑・質問、またそれに対する当局答弁を通して考えることは、ハード事業もソフト事業も形つくって魂を入れることの難しさです。崇高な事業の目的、理念の達成はそこに介在するすべて人々の意識の高さによってしか達成できないことを思い知らされます。これまで私たちは制度を本当に生きたものにしてきたか、箱物を生かすために活用してきたか、ハードもソフトもつくったときが事の始まりであり、生かすも殺すも人の意識であることを認識しつつ、繰り返し繰り返し問い続けなければならないことを思っています。
今議会に出されたある議員さんの個人質問は苦悩する議員さんの心情がよく理解でき共感できるものでした。政策立案における適正手続き、情報公開、合意形成の手法等々の問題でしたが、ガチガチに要綱・規則等々を作ったとしても解決できない問題であり、議会・行政・住民意識成熟度、民主主義の成熟度の問題が大きいように思っています。
橋本純子(佐世保市議)