「純子の見聞録」元気ネットワーク2003年9月


「平塚市長の話」

 神奈川県平塚市長に初当選した大蔵律子氏の「地方自治の最前線に立って|自治への 参画と女性」と題したお話を伺う機会がありました。

 まったく平塚市の状況について予備知識がない中で「なんて気さくな人柄だろう」という初印象です。まったく気負いが感じられない中に確固とした政治への信念が伝わってくる語り口です。

 無所属無党派で市議4期を務められ、その後市長選に臨んだ経緯、また当選後わずか4ヶ月というのに多岐にわたる改革の試みなど誠実に話して頂けました。

 それまで無投票で2期当選した現職市長はよもや対抗馬が出るとは思ってもいなかったため、3月の当初予算は本格予算が組まれていたとのことです。 無投票を阻止したいと考えた市民は「市長を変えよう平塚市民の会」を組織し、政策要求を掲げ、自薦・他薦による公募の候補者探しがはじまりました。

 大蔵さんは市民派無所属議員として市議4期を務め、次期市議選には20歳代の後継も現れ、すでに引退を表明されていました。しかし、人格、識見ともに優れた大蔵さんを市長にという声が出始め、悩みに悩んだ末、他薦公募の形で出馬が決まったそうです。当然、選挙は市民派草の根選挙です。企業や団体の寄付はまったく受けず、個人のカンパのみです。わすか約800万円足らずの選挙資金で現職に大差をつけて勝 利されています。

 当選後は公約に掲げた「市民の目線で市民とともに」「ガラス張りの市政に」「湘南市合併構想の再検討」を矢継ぎ早に具体的に提案されています。理由の詳細は紙面の都合で割愛しますが、湘南市合併研究会の活動中止。市長専用車の売却。市長給与の50%カットや収入役に女性を提案(2つとも議会は否決。今後ボーナスも退職金も考えているとのこと)。また市長交際費、行動記録など詳細に実名を挙げてすべてホームページ上に公開され、まったくガラス張りです。これは予算を掛けないですぐにでも市長の意志ひとつで、出来ることです。さらに市民や職員との対話の時間も積極的に持たれています。「いわゆる市長野党の多い中での、議会対策は?」という質問に対して、あっけらかんと「忠告は受けましたが、何もしなかったんです。常識では根回しは必要なのかも知れませんが、その点では甘いのでしょう。会派代表者会議(一人会派もすべて入っている)や議会運営委員会には説明がなされているのですが、それだけではだめで、アフター5のことらしいんです。後で何も頼みに来なかったからと言われました」というお答え。本格予算が組まれた中で、市長の独自政策の実現には議会あるいは行政運営には抵抗が予想されますが、本当に頑張っていただきたいものだと思います。

 伝わってくるこの爽やかさはいったい何なのだろうと考えるとき、そこには絶大な権力を得た人が見せる鼻をつくいやな雰囲気が微塵もなかったことです。清濁併せ呑むなんて変な芸当もない、本物を見た感じです。なぜ女性の政治参加なのかという議論の中で、権力欲に毒されてないことが上げられますが、ある方の言では「男性支配社会の後追いし、真似ている女性が増えてきている」ことからすると、それも意味をなくしつつあります。要注意、要注意!!

橋本純子(佐世保市議)

 

2003-9-6|HOME|