「純子の見聞録」元気ネットワーク2003年10月
「ジュリエット・べースンの埋め立て」
今議会に2つの「公有水面埋め立てに関する意見の件」が議案として上程されました。
「公有水面埋立法の規定に基づき、港湾管理者である佐世保市長が申請者に対し、その埋め立てを行っても支障がないという意見を述べるが、議会としてはどう判断するか」という議案です。1つは県道(俵ヶ浦・日野線)改良に伴うもので、長崎県が申請者です(H13年日米合同委員会で米海軍提供施設の一部返還が合意されています)。いま1つはジュリエット・べースンにおける新たな岸壁整備に伴うもので、 申請者は福岡防衛施設局です。ジュリエット・べースンの埋め立てに関する議案は議論が集中し、結論は賛否を分けましたが、賛成多数で可決されました。ちなみに私は反対しました。
米海軍提供施設ジュリエット・べースンの埋め立て及び岸壁整備については長い経過があります。過去、海上自衛隊針尾弾薬庫の建設に伴い、市は市有地を提供しました。その見返りとして、昭和61年、3項目の要望がなされました。その1つがジュリエット・べースンの埋め立てです。そこに倉島地区海上自衛隊施設を移転集約し、倉島地区を民間使用にするというものです。 この問題は防衛施設庁、海上自衛隊、そして佐世保市の3者で長い間協議会を設け論議が続けられてきましたが、誰が費用負担をするのかが問題になりまったく進展しませんでした。ジュリエット・べースンの埋め立て費用、倉島地区の土地の買い上げが当然議論になったことと思われます。結局、H10年、倉島地区自衛隊施設の老朽化を理由に同地区での施設整備が決定し、移転集約の要望、同地区の商港としての住み分けはとうとう叶いませんでした。
しかし、その後どういう訳か(地元選出国会議員のご尽力があったと伺っていますが)H11年から毎年、埋め立て関連予算が計上されるようになりました。H11年度には岸壁整備に向けた基礎調査525万円。H12年度には環境影響評価関係その他測量調査3570万円。H13年度には環境影響評価関連及び各種基本検討・設計関係17997万円。この時点でジュリエット・べースンの岸壁完成を前提に、またユーティ リティの確保を条件として米海軍提供施設である立神岸壁4.5岸と3岸の一部、佐世保重工が一時使用している赤崎貯油所約31,000u、そして旧米海軍専用鉄道側線の3項目の返還見通しが防衛施設庁側から示されました。H14年度は岸壁整備関係60,585,000円、H15年度は仮設、地盤改良工事及び実施設計約46億1,400万円。そして来年度は岸壁整備工事その他で約42億円の概算要求がなされ ていることが、9月24日の基地対策特別委員会に報告されました。
ジュリエット・べースンの岸壁整備の総事業費は約200億円といわれています。あんなに倉島移転が進まなかったことを考えると、同じ国民の税金なのに思いやり予算となると勢いよく拠出されることには驚かされます。
ジュリエット・べースンに関する「公有水面埋め立てに関する意見の件」ですが、議論の内容は未だ日米合同委員会における返還の合意が出来ていないこと、A制限提供水域をそもそも公有水面といえるのか、まずは国内法を遵守するのであれば水域の返還が先ではないかという議論が繰り広げられました。
橋本純子(佐世保市議)