「純子の見聞録」元気ネットワーク2004年2月
「水資源確保特別委員会視察報告」
1月15日から16日、議会の特別委員会は東京都墨田区とすでに完成している埼玉県 合角ダムを訪れました。それぞれの水源確保対策について報告いたします。
墨田区の水源は上流の巨大なダムにほとんど依存、これからは区内に降る雨を自前 の水源として見直し、できるだけ水源の自立をはかる必要があるとして「まちに小さ なダムをつくる」という政策方針が立てられました。つまり雨水利用の取り組みで す。
その取り組みについては、担当者である村瀬誠氏の講演を以前、佐世保市でお聞き したことがあり、その後の経過を楽しみに出かけました。やはりあの時の村瀬さんが 今も担当されていました。墨田区の雨水利用は、昭和57年、国技館の建替えに伴い、 日本相撲協会に雨水利用の導入を申し入れたことに始まります。平成7年、雨水利用 推進指針を策定され、公の施設は原則雨水利用施設の設置、民間は雨水利用を指導、 加えて雨水タンクの設置に対して助成することが定められました。また開発指導要綱 を改正し、1000u(現在は500u)以上の開発行為については雨水利用を積極 的に進めるよう定められています。結果、現在までの実績として、施設数66、総貯留 槽容量一〇・〇三一六六t、(内、民間は施設数21、総貯留槽容量二・六七一t、助 成金総額一二六八万二三九九円)となっています。
巨大ダムに対して小さなダムの容 量は比較になりませんが、その目的は、水源確保だけではなく、都市型洪水の防止と 非常時の生活用水確保にもあり、少しずつその効果を上げているようです。それにも 増して、区民の皆さんの水に対する意識は大きく変化してきたのではないかと思われ ます。
合わせて雨水資料館を案内していただきました。以前と変わりない熱の入った 村瀬さんの説明に、改めて水資源が有限であることに危機感をもつと同時に、施策推 進に欠かせないものは行政担当者の飽くなき情熱であることを、敬意を持って実感さ せられました。まちの小さなダムは将来必ずや大きなダムに匹敵する役割をはたすよ うになることでしょう。
ちなみに佐世保市は全国の自治体で雨水利用に関する情報交 換や政策交流をやっている「雨水利用自治体担当者連絡会」のメンバーであるとの 事。状況が違ってきた大きな要因は、上下水道事業者が墨田区は東京都であるのに対 して、わが市は佐世保市が事業者であることだとするなら、その中で何らかの解決策 を見出し、雨水利用を含め、節水まちづくりを進めたいものです。
次は大きなダムの視察です。荒川水系に属する一級河川に建設された合角(かっか く)ダムは長崎県が予定している石木ダムにその規模において、また目的において類 似しています。昭和45年に着手され、平成12年に完成しています。水没移転家屋は75 戸、総事業費は四七一億円、その内ダム本体の建設費用は二一〇億六〇〇〇万円と なっています。ダムに沈んだ合角地区では建設反対運動があったようですが、現在の 担当者に当時の経過を知る人がおられず、詳しい説明を聞くことはできませんでし た。重力式コンクリートダムはその名のとおり重量感のある巨大なコンクリートの塊 として、その存在感を示しつつ、何事もなかったかのようにたたずんでいました。
橋本純子(佐世保市議)