「純子の見聞録」元気ネットワーク2004年3月
「女性たちのエンパワーメント」
2月初め、長崎県知事に対し県下の女性議員有志10数名が、「男女共同参画に関す
る政策の推進に関する」要望書を提出しました。
前回に続く2度目の要望ですが、このように大勢で押しかけたことはかってなく、
知事もそのパワーに圧倒されたのではなかったでしょうか。
成果については、今後の取り組み状況を見ないと分りませんが、万難を排してぜひ
申し入れに参加したいという議員が多かったことに意識の変化を見ています。
要望書を提出するに至った経過は、昨年11月、第5回の長崎県女性議員協議会研修
会が佐世保市で開催されたことを受けてのことです。
この団体は任意の団体ですが、県下の女性議員のネットワークとしてH8年に発足
いたしました。その目的は男女共同参画に関する政策の推進を大きな課題として、研
鑽のための研修会、情報交換、そしてまた親睦を兼ねています。
今回は県議、市議、町議合わせて23名が参加し、県下の女性議員の51名の約半数が
参加したことになります。例年からすると日程が合わずに参加できない方もおられや
や少なかったのですが、活発な意見交換もあり研修会が定着しつつある感をもってい
ます。
直接的な政策決定過程への関与として女性をひとりでも多く議会へ送るということ
も大きな課題ですが、男女共同参画の課題として「審議会等委員への女性の参加促
進」があります。ある街の事例ですが、先日、市民の活発な議論のうえで、先んじて
条例を制定したある街のお話を聞く機会がありました。女性の審議会等への参画率が
高まる中で、多くの次なる課題に気づき、真剣な議論が始まっているのです。
論点の1つは審議会のあり方であり、行政側の問題です。市民の声として錦の御旗
に使われる論議としてはいかに不透明であるかということです。審議会委員の選び
方、傍聴、会議録を含む情報公開のあり方、資料の内容と事前配布の時期等々、審議
会をより透明なものにするためにはどうすればよいかという問題です。
2つ目の論点は女性たち自身の問題です。そのような機会が与えられなかった女性
たちは、審議会の雰囲気にのまれ、既存の枠組みにどう対応し、何処から改善しなけ
ればいけないのか、与えられた機会を生かしきれず戸惑っています。参画率を上げる
ことが最初の課題であったことは当然ですが、実感としてエンパワーメントの重要性
に心から気づかれたという状況でしょうか。団体代表として審議会委員となったので
あれば、必ず所属団体にフィードバックし、全体で学習し、議論し、結論を見出す。
そして再び審議会にフィードバックするサイクルの中で、みんなが力をつけて行こう
と話し合っています。考えてみると民主的な市民参加のあり方の基本的なことなので
すが、体験して初めて分ることも多いのではないでしょうか。
女性だからそうなのだということでもないでしょう。これまでの男性中心の審議会
においても同様の状況が見られ、あたかもそれでいいのだ、仕方がないのだと訳知り
顔で現状を受け入れている男性に対して、新たに参画した女性たちが風穴を開ける良
い機会になるのではないでしょうか。
こうしたたゆまぬ努力を重ねることによって螺
旋状に民主主義の成熟した社会が実現していくことを願っています。このお話はよそ
の町の話ではありません。わが市においても同様であり、大変示唆的なものではない
かと考えています。私自身の議員活動にも通じることだとも思っています。
橋本純子(佐世保市議)