「純子の見聞録」元気ネットワーク2005年3月


「拙速すぎる合併協議」

降ってわいたような小佐々町との法定合併協議会設置議案が、2月18日の臨時議 会で、賛成多数で可決成立しました。私のような一人会派は出席できない会派代 表者会議で事前に説明があったようで、すでに決定していたかのように混乱もな く可決しました。所定の協議と手続きを終らせ、3月議会の会期中に合併関連議 案提出がすでに予定されています。
臨時議会の法定協議会設置議案とその関連予算案に反対しましたので、以下私の反対討論を掲載いたします。

 第2号議案に対し、反対の立場で討論いたします。  反対の最大の理由は全国的にも異例の拙速すぎる協議スケジュールにありま す。臨時議会を開催してまでも、何が何でも特例法期限内の実現を目指すという 結論ありきの法定協議会の協議スケジュールが設定されています。協議結果をそ のつど住民側へフィードバックしてきたこれまでの佐世保市のスタンスはいった いどうなったのでしょうか。「合併作業についてはこれまで学習してきた」とい う佐世保市の住民説明会での説明でしたが、これは明らかに行政中心の論理であ り、住民無視のやり方ではないかと考えます。ことに小佐々町においては、佐々 町との合併を平成14年から協議し、合併調印を目前にして、このような状況に なっています。そして、また佐々町との法定協は未だ存続している状況にあっ て、小佐々町住民の皆さんの気持ちは大変微妙なのではないでしょうか。

1月30日に小佐々町で開催された住民説明会に参加させていただきました。そこでは、 佐世保市との合併を歓迎する声も確かにあったことは否定しませんが、しかし、 住民への説明不足を指摘する声も多く聞かれたことも事実です。たとえば1月18 日に小佐々町議会は全会一致で、佐世保市との合併方針を決定していたにもかか わらず、住民説明会の前日にある町議さんに確認したが、「そんな事実はない」 という説明を聞いていたので、あまりにも唐突な話で納得できないとか、このよ うな不透明な行政のやり方は小佐々町の体質ではないのかとか、また、生活や仕 事と様々な面で人的交流の密接な佐々町との関係によからぬしこりが残ることへ の危惧とか、佐々町議会は未だ合併の意向が強いとか、合併調印前になぜだか支 出された電算システム統合予算、2町で約1億4000万の責任をどう考えるの かとか、住民投票条例制定にかかる手続きの説明を求める意見に対し約2ヶ月か かった瑞穂町の事例が説明されていました。

  合併ありきではない、正式な合併は平成17年度末なのだから、合併の是非につ いての住民意思を示す期間は十分に確保されているという考え方もあるかもしれ ません。しかし両自治体が今後一体になって新市をつくっていく基本的なまちづ くりビジョンを決定し、合併協定調印までの重要な協議期間の無謀ともいえる短 さは明らかに行政主導であり、住民不在の論議であると言わざるを得ません。財 源目当ての本末転倒のスケジュールによって決定した新市まちづくり建設計画 は、その後、本当に住民の理解と協力を得ることができるのでしょうか。危惧さ れてなりません。合併協定調印あるいは本年度末までの県知事申請のタイトなス ケジュールを示された住民にはすでに合併の是非を議論する気力さえもそがれ、 あきらめきっている両自治体の住民があるのではないでしょうか。

国、県、市ともに全体として財政規模が縮小し、三位一体改革の進む中で、臨時財政対策債発 行、交付税特会借り入れの地方負担分も膨らんできています。そのような状況の 中で、国の合併特例財源や補助金、あるいは県補助金という形で、佐世保市に財 源が移転したとしても、強調される3億3000万円のメリットも実質的価値は 目減りし、将来わが身に降りかかってくることは確実であります。財源目当てに 強引な合併スケジュールを進めるメリットよりも、これから一緒になって、新し い町を作っていこうという住民の合意と納得そして協力の気持ちを醸成しつつ協 議を進めなかったデメリットの方が、かえって損失が大きいのではないかと考え ます。そしてこのようなやり方は分権時代にふさわしいあり方では決してないこ とを指摘し、反対の討論といたします。

橋本純子(佐世保市議)

 

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