「純子の見聞録」元気ネットワーク99年12月
関心を持って注目していたNPO法案が「特定非営利活動促進法」として1998年 の通常国会において成立し、これまで「人格なき社団」であったボランティア団体や 市民団体が基本財産を全く持たなくとも比較的容易に法人格を取得出来るようになっ た事はご存じの事と思います。
先日、厚生省の助成事業のある研修会に参加しました。その研修会とは介護保険制 度における「指定居宅サービス事業者」参入のための非営利組織向け研修会です。社 団法人長寿社会文化財団が受託し、全国3カ所で開催されています。まずは会場いっ ぱいの参加者を目の当たりにし、その関心の高さに圧倒されました。本来は非営利組 織を対象に行われたものですが、営利組織である民間企業の参加もあり、さらに様々 な可能性が広がる事を知り、「宅老所」づくりのお手伝いをしている私に取って、大 変興味深い研修会となりました。
法人格の認証を受けるとNPO(非営利組織)でも介護保険の指定事業者の申請が 可能になります。そして多くのNPO法人が介護保険制度の枠内サービスあるいは枠 外サービスに参加する事によって、本来のNPOの目指す役割を確かに果たす活動で あるなら、私たちが求める質の高い介護が実現するはずであり、ひいては営利組織あ るいは行政へも影響を与え、全体として理想的な介護保険制度が完成されていくと期 待されています。
いうまでもなくNPO活動の範囲は医療・保健・福祉分野だけではありません。N PO法にはまちづくり、環境、人権・平和、国際協力、文化・芸術等々12の分野の活 動が規定されています。それぞれの分野において社会的使命を持ち、社会的責任を自 覚し集まった個人によって行われる非営利組織の活動は個人の志を社会化する仕組み であり、このシステムが機能し、発展する事によって「市民社会」が実現し、ひいて は市民自治の社会が創造されていく事を目指すNPO支援の法律です。
現実は市民の意識の遅れ、あるいは法の不備等々で、まだまだ厳しいものがありま すが、現在までに全国で1500余りの団体がNPO法人設立申請をしているとのこ とです。わが市においてもすでに障害者の自立生活支援の1団体がスタートし、現在 少なくとも2つの団体が申請準備の段階にあるようです。
この法案はそもそも自社さ連立政権当時、議員立法によって成立しました。先の9 月定例佐世保市議会において「NPO法人の育成策強化を求める」意見書が保守系会 派の反対で、否決されてしましました。反対の理由は明確ではなく、よくわからない から様子を見てからといった状況であったように思います。税制上の優遇措置につい ては欧米のNPO法では認められていますが、残念ながらわが国の法律には含まれ ず、附則において法施行の2年後に見直す事になっています。今こそ法を活かす努力 が必要と考えます。
99-12-2|HOME|