=在韓米軍家族、退避訓練で佐世保基地に=



 3月26日、在韓米軍の家族が、朝鮮半島で戦闘が起こった場合の避難訓練のため福岡空港経由で米海軍佐世保基地に到着した。
 この訓練は「勇敢な海峡」と名付けられ、米国務省のプログラム「非戦闘員退避作戦(NEO)」として毎年行われているもので、96年11月(厚木・カデナ)、97年10月(横田・岩国)に続く訓練だ。
 もともと昨年10月に行われる予定だったが、悪天候のため中止されていたもの。
 今回は韓国・オサン(烏山)基地に集合した米国人を安全地帯に退避させるという想定で、3月25日から開始された。


−退避訓練は新ガイドライン?−

 今回の訓練の特徴は、これまでになくマスコミ各社に内容を公開したところにある。福岡空港での取材や佐世保基地内の宿泊所やレクチャーの様子まで親切に公開していた。
 この訓練は米軍基地と米軍の輸送機(C−141)を使って行われ、しかも民間空港を利用したところから一斉に「新ガイドラインの先取りだ!」とされてしまった。
 日米防衛協力の指針(ガイドライン)の国会審議が始まる時期に合わせたようなタイミングで実施されたので、飛びついてしまったようだ。
 しかし訓練の内容を見ると「民間協力」も「自治体の協力」も出てこない。福岡空港の利用は地位協定に基づくもので従来から行われているし、佐世保基地までのバスは米軍のバスを基地従業員が運転したもので、なんらこれまでの作業と変わりはない。
 取材のあまりの過熱ぶりを心配した警察が、交通整理のためパトカーを出したのが唯一の「自治体の協力」だったようだ。
 どうやらガイドライン審議を後押しするため、米国政府が「米国はこんな訓練も行って
いるのだぞ。」と公開したように思える。


−基地従業員の立場はどうなる−

 この訓練でもっとも心配になるのは基地従業員の処遇の問題だ。この訓練を支えるため基地従業員の作業場所は佐世保基地から福岡空港(の提供施設)まで広がった。これが日本国以外の米軍基地にまで作業場所を拡大されることはないだろうかということだ。
 時代状況と社会背景はずいぶん違うが、朝鮮戦争のとき、基地従業員は日本国外での作業も命令されている。
 立場はどうであれ、働く者の安全確保の視点からも、今回の訓練は憂慮される。

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