海自護衛艦、原子力空母入港抗議のデモ船団に突入


デモ船団の正面から突入する護衛艦「こんごう」(2006.5.25 撮影)

5月25日朝、米海軍の原子力空母エイブラハム・リンカーンが4年ぶりに米海軍基地がある佐世保に入港した。
これに対して佐世保地区労や長崎平和運動センター、市民団体などが19隻のボートなどで抗議の海上デモを行った。

海上デモは1週間以上も前から佐世保海上保安部と協議してコースや時間、隻数を確認したものだった。
ところが入港当日、海上デモ船団が空母リンカーンと並走しながら佐世保港内の庵崎沖合いに差し掛かった午前8時40分ごろ、折から出港途中の海上自衛隊護衛艦「こんごう」(満載排水量9500トン)とおなじく「まきなみ」(満載排水量5100トン)が船団の真ん中に突き進んできた。

翌26日、海上自衛隊に抗議と真相の究明を求めて面会したところ、当初は正門横の守衛詰め所を面会場所に示してきた。
あまりのことに抗議すると渋々会議室を面会場所にしたが、佐世保地区労の抗議に対して海上自衛隊佐世保総監部は「海上デモ船団が航行していたのは大型船の出港航路であったので、通常の出港航路を進行しただけ。」と弁明したが、この航路帯には海上でも船団がいることは分かっており、しかも海上保安部から事前に「調整」を求められていたのにそれを事実上拒否していたことも明らかになった。
つまり、大型の護衛艦が事前の予定通り出航すれば海上デモ船団と遭遇するのは十分想像しえたことであった。

また、デモ船団を認識しなかったのか、という追及に「小型漁船が多数動いている場合もある。」などと弁解したが、船団はすべて赤い旗を掲げており、しかもその周囲を海上保安部の巡視艇が取り巻いていたのだから「漁船」と間違えることは考えられない。

まだ、真相が明らかになっていないが、米軍の空母を「護衛」するため抗議する船団の行動を妨害しようとしていたとも考えられる。
「海の男がそんなことをするわけがない」(応対した総務課長=元潜水艦艦長)というが、東京湾で起きた潜水艦「なだしお」事件という前例もある。
今後も真相と責任の所在が明らかになるまで追求しなければならない。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


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