原子力空母リンカーン、佐世保に入港


佐世保に入港する空母リンカーンと抗議船団(5月25日撮影)

5月25日朝、米海軍の原子力空母エイブラハム・リンカーンが米海軍佐世保基地がある佐世保港に入港し、沖合いの35番錨地に停泊した。
空母の入港は1年9ヶ月ぶり、リンカーンは3年9ヶ月ぶりの入港となった。

リンカーンは2月下旬に母港のワシントン州エベレット海軍基地を出港した後、3月から日本海で米韓合同訓練「フォール・イーグル」に参加した後、タイなど東南アジアでの作戦行動を続け、シンガポール寄港後日本に向かっていた。

以前は空母などの大型間が入港する場合、3ヶ月以上前から準備が行われていたが、今回の入港は3週間前から準備が始まったようだ。
前回(04年8月)、ジョン・C・ステニスが入港した折は約7週間前から準備が開始されていたので、受け入れ態勢の迅速化が急テンポで整備されたことがわかる。

受け入れの準備は、生鮮食料品の補給だけでなく沖泊まりした空母との間のフェリーの確保から上陸した乗組員の旅行の手配まで多岐に渡っているが、これらはすべて日本の民間業者との契約で行われるが、一連の契約が3週間の間に進められたというのは、正直言って驚きでもある。
言い換えれば、それだけ米軍との契約の応じた民間業者が作業手順に慣れてきたということでもある。

背景にはやはり「米軍再編」がある。前方に固定配備した戦力を基本的には撤退させ、代わりに柔軟性のある戦力を急速に展開することを念頭に置いたものだろう。3週間というのは、空母艦隊がハワイから日本に到達するのに要する日数とほぼ一致する。
そのための「受入国支援」あるいは「有事法制」なのだろう。

しかしこの「再編」は基地の負担軽減あるいは縮小を意味するものではない。必要な時に必要なだけ使うため、施設はそのまま占有される。
佐世保ではホバークラフト型上陸用舟艇(LCAC)の整備上建設、揚陸艦隊用の岸壁新設が次々に進められている。追加して弾薬施設の移転更新も要求されている。
空母入港は横須賀への原子力空母母港配備を念頭に置いたものであると同時に、米軍への支援・協力体制をいっそう進めるためのものだろう。

これに対して港の軍事利用に反対し、空母の入港に抗議する海上デモが行われ、19隻のボートが空母を取り巻いた。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)



リンカーンの周囲を回る抗議船団(5月25日撮影)


'2006-5-26|HOME|