ケーブル敷設艦・測量艦の佐世保入港増加の意味は?


佐世保基地の立神3号岸壁に停泊するケーグル敷設艦ゼウス(06.8.28 撮影)

今年になって米海軍の補給・補助艦船の入港が顕著に増加している。
もともと佐世保基地には駆逐艦や潜水艦、揚陸艦のような軍艦(作戦艦)よりも補助・補給艦船の入港が多い。

今年はすでに八十三隻に達している。昨年は最終的に約百隻の補助・補給艦船が入港したが、今年特に目立つのは米海軍が運用している唯一の海底ケーブル敷設艦「ゼウス」(満載排水量約一万五千トン)で、ほぼ毎月一回の割合で姿を見せ、すでに九回入港している。
この船は通信用の海底ケーブルを敷設、あるいはそのメンテナンスを行うことが任務だが、一昨年まではほとんど姿を見せなかったことを考えると、ケーブル敷設だけではない別の目的で姿を見せているものと思われる。

「海底」ということで関連付けると、測量(海洋調査)艦がいる。測量艦は海底の地形や地質、潮流や温度分布などを調査し、作戦艦の航行に必要なデータを集め海底の地図を作ることが任務である。測量艦は今年すでに13回入港している。

海底ケーブル敷設艦と測量艦の行動を結び付けて考えられるのは、かつて日本周辺で旧・ソ連の潜水艦を監視するため海底に設置されていた「音響監視システム(SOSUS)」を復活させたのではないか、ということだ。
このシステムは海底に設置したケーブルに取り付けた聴音器で通過する潜水艦や水上戦闘艦の動きを監視するもので、いわゆる琉球弧に沿って張り巡らされていた。
システムのメンテナンスは測量艦が、交換はケーブル敷設艦が受け持っていたが、冷戦終結後は監視対象であったロシア艦隊の活動が低下したことから運用を中止していた。

しかし、昨年は中国海軍の原子力潜水艦がグアム周辺まで出かけるなど活動を活発化させていることから、再び冷戦期の亡霊がよみがえったのではないかと思われる。そしてその拠点が佐世保基地ということだ。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


海洋調査船4隻が集結した佐世保基地。別のところにもう1隻いる(06.7.15 撮影)


'2006-9-1|HOME|