佐世保基地・前畑弾薬庫で火災


炎上する前畑弾薬庫の倉庫。放水ははしご車2台からだけ。 (10.21 撮影)

10月21日に米海軍佐世保基地にある前畑弾薬庫敷地内で火災が発生した。
周辺住民の話によると、午後2時50分過ぎ頃、前畑弾薬庫の敷地内にある倉庫から煙が上がったが、その後徐々に煙が広がり午後4時頃には火災と分かる煙が立ち上ったということ。

出火もとの倉庫は弾薬の搬出などの際に梱包する木材や弾薬の腐食防止に使用するオイルなどを保管しているということであった。
出火もとの倉庫の近く(約30メートル)にはミサイルの保管場所となっている管理倉庫と思われる施設がある。延焼の場合には通常の火災以上の危険も想定される場所だ。
出火もとの倉庫は旧・日本海軍時代からの施設で、米軍へ提供されている日本国の財産でもある。

前畑弾薬庫はこれまでのリムピースの調査から大量の弾薬、特に精密誘導爆弾や核兵器などの保管はないものと思われていた。
今回の火災においてはこのことを証明するように、米軍は消火に熱心ではなかった。
火災発生の通知も周辺住民から連絡を受けた佐世保市消防局が米軍に問い合わせて分かったもので、その後の消火活動についても佐世保市消防局の申し出にもかかわらず、佐世保市の消防車の応援を拒否し米軍基地内の消防による消火活動だけで対処していた。

その結果、火災発生から5時間以上経過してもまだ鎮火できないという異常事態を引き起こした。
米軍の消防体制ははしご車2台とポンプ車1台による消火で、とても早期の消火を目指したものとは思えない。

場合によっては周辺民家への延焼も想定されると言う緊急事態にもかかわらず、また弾薬庫施設内の火災であるという特別な状況にもかかわらず佐世保市消防局の応援を拒否した米軍の対応は異常なものと言わざるを得ない。
うがった見方をすれば、旧式化した施設は全焼させ、新しい施設を日本政府に建設させる目的で消火活動を遅滞させた、とも考えられる。

火災の場合通常行われる現場検証についても、10月21日の時点では米軍は調査担当者2名の立ち入りを認めただけである。
被害の拡大防止あるいは火災原因の究明や被害状況の調査を意図的に妨害しているとしか考えられない米軍の対応である。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


夜になっても炎を吹き上げる火災現場(10.21 撮影)


'2006-10-21|HOME|