沿岸送油システム艦、佐世保に入港


立神2号岸壁に停泊中のOPDS艦ウィーラーと補助艦ファストテンポ
大きなグレーのリールに巻かれた黄色のパイプが石油輸送用のパイプだ


ウィーラーの艦尾のリールには汚濁防止フェンスがまかれている (08.2.11 撮影)

原子力空母ニミッツが佐世保に寄港する前日の10日、米海軍基地立神(India)2号岸壁に一風変わった米海軍の補助艦が接岸した。
入港したのはVadm K R  Wheeler(T-AG-5001)。MSCが新規にチャーターし、洋上事前集積戦隊MPS-3に配属されたばかりの、 沿岸送油システム(Offshore Petroleum Distribution System,OPDS)を積んだ船だ。

この船は沖合いから海岸まで長大なパイプを通しポンプで圧送することで、一日当たり50万ガロンの燃料を、沖に停泊するタンカーから 海岸まで輸送することが可能だ。フレキシブルなパイプの長さは8マイルにおよぶという。
海岸からIPDS(内陸送油システム)のパイプラインにバトンタッチすれば、港湾施設が不十分もしくはまったくない場所でも、 タンカーから内陸まで燃料をパイプラインで輸送することが可能になる。
ちなみにIPDSは神奈川県の相模補給廠に2セット備蓄されている。

韓国ではかつて、東海岸にある浦項(ポハン)から内陸部の義政府まで長大な燃料輸送管が敷設してあったが、今は韓国送油公社に施設を 移管しているという。
また、ウィーラーはこのところ燃料輸送艦ピーターズバーグ(T-AOT-9101)と前後してグアムの海軍基地に配属されているが、戦時には このタンカーとともにたとえば韓国・ポハン海岸から内陸部に燃料を輸送する任務を持っているものと思われる。

ウィーラーとともにFast Tempo という小型船が入港した。MSCが出しているSEALIFTの07年11月のページには、ファスト テンポがウィーラーの補助船(Wheeler's tender vessel)と紹介されている。
佐世保入港時も、ウィーラーに寄り添うように停泊している。
ウィーラーもファストテンポも船体にエジソン・ショウエスト社のマークが描かれている。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


MSCのページに掲載されたOPDS艦ウィーラー。大型リールが5つ見える


'2008-2-14|HOME|