佐世保寄港の原潜が放射能漏れ?


3月、佐世保寄港時の原潜ヒューストン。赤崎岸壁に停泊中


出港直前の原潜ヒューストン。食料などを手渡しで積み込んでいた(08.3.31 撮影)

 8月2日午前、外務省から佐世保市に入った連絡でロサンジェルス級の原潜ヒューストン(SSN-713)の原子炉から放射能を含んだ冷却水が 漏れていたことが分かった。
 原潜ヒューストンは定期メンテナンスのためハワイでドライドックに入渠し点検した際、約1ガロン(約4リットル)の冷却水が漏れてい たという。

 米太平洋艦隊のスポークスマンの話によると、漏れているのが発見されたのは7月17日で、漏れ出た放射能はごく微量(0.0000005キュリ ー)で、漏れ出た箇所は配管の接合部からにじみ出るように漏れていたとのこと。
 このため漏出は2月の出港から5月末にグアムに戻るまで続いていたものと思われ、この期間には沖縄・ホワイトビーチ (3月12日)、佐世保(3月27日から31日、4月6日)寄港が含まれている。
 ホワイトビーチや佐世保に停泊中にも冷却水漏れが続いていた可能性も高い。

 ヒューストンの艦長は、グアム帰港後に「ヒューストンは数週間のメインテナンスを計画していたが、予定外の任務航海で日本に行っ た」と語っている。(NAVY.MIL 08.6.23)
メンテナンスより任務が優先するのは軍艦の常だが、それによって放射能が放出されれば、被害は寄港地周辺の住民にも及ぶ。

 佐世保市によると、入出港および停泊中のヒューストン付近からは異常な放射能は観測されなかったということだが、固定モニタリング ポストの数や海洋調査など観測体制が十分であったかどうかが問題だろう。
 また、放射能漏れが確認されてから日本の外務省に連絡があったのが8月1日、さらに地元に連絡があったのが8月2日と、実にのんびりし た連絡体制だ。

 米海軍は佐世保では、原子力防災訓練に「原子力事故は起こらない。」として参加を拒否している。
 今回の放射能漏れも「事故ではなく器具の不具合」としているようだが、放射能漏れが現実になった以上、地域住民の安全確保のため 考えを改めるべきだろう。

ヒューストンは1982年に就役し、近年原潜シティ・オブ・コーパスクリスティ(SSN-705)、サンフランシスコ(SSN-711)、バッファロー (SSN−715)とともにグアムに配属されている。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


'2008-8-2|HOME|