燃料補給艦の佐世保寄港急増と原子力空母配備


赤崎岸壁に接岸した燃料補給艦ジョン・エリクソン(T−AO−194)(11月20日撮影)

米海軍佐世保基地にこのところヘンリー・J・カイザー級の燃料補給艦が頻繁に寄港している。
特に目立って増加したのが10月以降で、原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀に交代配備されてからだ。

米海軍佐世保基地には昨年一年間、燃料補給艦は14隻寄港し、平均で6.9日停泊し、補給活動と休養あるいは整備の目的も合わせて 寄港していたと思える。
また、今年になって原子力空母が横須賀に配備されるまで、燃料補給艦は延べ22回(5隻)が寄港し、平均では1ヶ月に2.4隻が寄港 している計算になる。
ところが10月から11月20日までの期間に7回(3隻)が寄港し、1ヶ月に4隻近くが寄港している計算だ。

さらに見ると、平均停泊日数が配備前は1回の寄港につき5.4日、配備後は1.8日となる。
また、昨年と比較すると、10月から11月の2ヶ月間に07年は4回(2隻)が寄港し、平均停泊日数は3.5日であった。
10月から11月は米韓合同訓練やが日米合同海上演習などが集中しているので、これまでも燃料補給艦の寄港回数は多かった。
しかし、今年寄港回数と停泊日数はこれまでの傾向と明らかに違いを見せている。

原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀配備直後から韓国に出かけ、その後も海上自衛隊との合同訓練に出かけるなど、キティホークと は違って精力的にアジアを駆け回っている。
原子力空母は原子炉が動力源だから主推進機関のための石油燃料はいらない。しかし搭載する艦載機の燃料は必要だし、随伴する巡洋艦や 駆逐艦の燃料も補給する必要がある。
艦載機や随伴艦の動きが激しければ、燃料消費が増える。その補給活動のため佐世保への燃料補給艦寄港回数が増加しているのだろ う。

燃料補給艦だけでなく貨物配送システム艦ケープ・ヤコブ(T−AK−5029)の寄港も目立ってきている。
やはり、原子力空母の横須賀配備は佐世保基地を後方支援の補給基地から前線での補給基地へと変貌させている。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


港中央部39番錨地の貨物輸送艦ケープ・ヤコブ(11月15日撮影)


'2008-11-20|HOME|