音響測定艦、横浜NDから佐世保へシフト


佐世保に長期間寄港中の音響測定艦インペッカブル(10.11.17 撮影)


音響測定艦の佐世保・沖縄・横浜寄港回数、3年間の推移 

米海軍の音響測定艦の動きに大きな変化があることが確認された。

数年前まで、佐世保港に音響測定艦は年間1〜2隻程度が寄港するだけであった。
音響測定艦は運用司令部組織(COMLOGWESTPAC)がある横浜および東シナ海など作戦海域に近い沖縄(那覇軍港、ホワイト ビーチ)への寄港が大半であった。
しかし、2010米会計年度に入ると横浜への寄港が急減し、代わりに佐世保港への集中的な寄港が目立ってきた。

データで比較すると、佐世保には2008米会計年度には3隻であったものが2010米会計年度には34隻に、代わりに横浜へは32隻から 4隻へと変わっている。
この間、沖縄への寄港は29隻から14隻と減少はしたものの寄港回数は多い。

中国や北朝鮮の潜水艦の追尾・捜索という理由ならば会計年度でこのような極端な差が出てくるとは思えない。
米海軍佐世保基地では平瀬係船池(ジュリエット・ベース)に強襲揚陸艦用の大型岸壁があらたに建設が進められ、まもなく運用が開始 される。
この結果、これまで強襲揚陸艦が停泊していた立神係船池(インディア・ベース)に余裕が生じることになる。

既報のように、強襲揚陸艦が停泊した岸壁に音響測定艦用の機材があることが確認されている。
結局、新しい岸壁が米海軍に提供されることでできたスペースに音響測定艦が事実上配備されることにつながりかねない。

このことについて米海軍佐世保基地は「新たな艦船の配備計画はない」としている。
だが、音響測定艦のようなMSC(海上軍事輸送司令部)が運用する艦船はこれまでも「母港はない」と説明されており、運用拠点として 佐世保が事実上の配備場所となる可能性もある。
ただし、佐世保港にはこれまでも測量(海洋調査)艦が数年にわたって集中的に寄港していたこともあり、今後の情勢によっては寄港しな くなることもあるだろう。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


沖縄・ホワイトビーチ寄港中の音響測定艦ロイヤル(10.11.16 読者撮影)


2010-11-18|HOME|