原子力空母ジョージ・ワシントン、佐世保に突然入港


佐世保港口を通過するGW 飛行甲板に航空機はない(4月5日午前7時ころ 撮影)

原子力空母としてはこれまでに例のない状態で原子力空母ジョージ・ワシントン(George Washington CVN−73)が佐世保に入港 した。

同空母は本年初頭から横須賀で原子炉周り、推進機関、各種ケーブル交換、航空機用の燃料システムの交換作業など各種メンテナンス 作業中で、この作業には横須賀SRFの従業員や、米本土ワシントン州・ピュージェットサウンド海軍造船所(PSNS)から派遣され た作業員が当たっていた。

 しかし、東日本を襲った地震と津波で起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能の影響を避けるため、3月21日、 緊急にPSNSの作業員を乗せて出港し、洋上で修理作業を続行していた。
このため佐世保に入港した同空母の飛行甲板には消火訓練用のホーネットの「抜け殻」のほか梱包された貨物が雑然と積まれ、アイラン ドの前方には作業用のパイプやぐらが組まれたままであった。
また、アイランド周辺の飛行甲板には作業員多数がたむろし、周辺を見回していた。

通常であれば入港する際、上空警備(チャネルガード)を行うヘリコプターも飛び回らないという、これまでにない様子であった。
空母が入港した直後には貨物弾薬補給艦リチャード・バード(Richard E Byrd T=AKE−4)と護衛に当たっていたと思われる駆逐艦 ストックデイル(Stockdale DDG-106)が入港した。

東日本大震災の救援作戦「トモダチ」とは関係のなく横須賀から避難してきた理由について、海軍作戦部長は「放射能漏れの原因と誤解 されることを避けるため。」という趣旨の説明を行っているが、佐世保にはGWと一緒に横須賀から避難してきた駆逐艦ラッセン(Lassen  DDG−82)が停泊し修理を行っている。ラッセンにはもちろん放射能の発生源は搭載されていない。

首都圏の放射能環境が改善されない限り、空母が臨時の母港として佐世保に反復寄港することが懸念される。

(リムピース編集委員・佐世保)


空母に続いて寄港する貨物弾薬補給艦リチャード・バード(4月5日午前9時20分ころ 撮影)


護衛に当たっている駆逐艦ストックデイル(4月5日午前10時半ころ 撮影)


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