原潜トピカが「無防備」状態で佐世保に一時寄港


入港する原潜。後方はドック型揚陸艦ジャーマンタウン


港中央部に停船した原潜。周辺に警備艇の姿はない

 7月31日午後1時半ころ、米海軍の原潜トピカ(Topeka SSN-754)が佐世保港に寄港し、数人の乗員を降ろしたのちに出港した。
 原潜トピカは7月になって2日と19日に、いずれも短時間寄港していたが、今回も短時間の寄港となった。

 原潜や原子力空母の寄港については日米間の取り決めで入港の24時間前に日本側(外務省)に通知することとなっている。
 もっとも、佐世保港のような強制水先区では佐世保の水先人会に事前に通知しなければならないし、所轄の海上保安署にも24時間前に通知しなければいけないから、この取り決めは特段「好意的 な配慮」からなされたものでないことは言うまでもない。
 しかし、この事前通知は2001年9月11日に起きた米本土テロ以降、米国政府の「テロの未然防止策」という理由による要請を受けて外務省は自治体に連絡はするものの「非公開」とし、今日まで 続いている。

 このことについて佐世保市などは市民団体の「テロの具体的な危険性が示されていない。入港情報を公表すべきだ。」という主張を受け、たびたび外務省に非公表措置の撤回を求めてきた。 だが、外務省は例によって「米国政府の要請があるから」として公表を拒否してきた。
 テロの危険性がある、というのがその理由になっている。

 ところが、7月31日に入港した原潜トピカの場合、入港から出港までの間、周辺では米軍による何らの警戒措置あるいは警備態勢が取られていなかった。
 入港から出港までの時間、原潜のそばで警戒措置をとっていたのは「非武装」の海上保安庁の巡視艇3隻だけ。
 日ごろから機関銃を搭載し、時には海上抗議デモ船団に機銃を向けて威嚇する米海軍佐世保基地の警備艇はとうとう姿を見せなかった。

 自ら「テロの危険性はない」と判断したのか、あるいは怠慢なのか。いずれにしてもこれまで原子力艦船の入港情報を非公開としていた理由に根拠がないことを自ら明らかにしてしまったよう だ。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)(2012.7.31 撮影) 


民間フェリーとすれ違う原潜トピカ


2012-8-1|HOME|