日米年次統合訓練(AE16)と佐世保基地

日米海軍の大規模年次訓練(AE16)が日本の南海上で11月16日から25日までの日程で行われた。この訓練に海上自衛隊から25隻、米海軍から10隻余りが参加するという大規模な訓練であったようだ。

訓練項目は、海上自衛隊の広報によれば「対潜水艦、対水上艦、対航空機戦闘訓練」ということで、佐世保に配備されている海上自衛隊の護衛艦は多数参加したものの、揚陸作戦が含まれていなかったため、米海軍佐世保基地の揚陸艦隊の動きはなかった。

 米海軍佐世保基地でAE16訓練に関係したのは各種補給・補助艦船だったが、この中で音響測定艦の動きが目についていた。
 AE16の訓練項目に対潜水艦作戦が含まれていたので、潜水艦を追尾するのが専門の音響測定艦も参加するのは想定できるが、その動きから見ると、別の展開も考えられる。

 これまで判明した音響測定艦の動きでは

ビクトリアス(VICTRIOUS T-AGOS-19)
 10月27日佐世保出港 11月25〜28日ホワイトビーチ寄港

エフェクティブ(EFFECTIVE T-AGOS-21)
 10月26日ホワイトビーチ出港 (東シナ海を北上) 11月21日佐世保寄港
 11月27日佐世保出港 (種子島近海から太平洋に) 12月1日佐世保寄港

ロイヤル(LOYAL T-AGOS-22)
11月15日ホワイトビーチ出港 (東シナ海を東進) 11月26日佐世保寄港
11月29日佐世保出港 (五島列島付近を南下)

エイブル(ABLE T-AGOS-20)
 11月27日佐世保寄港 経路は不明

インペッカブル(IMPECCABLE T-AGOS-23)
 南シナ海

ということだが、11月25日に訓練が終わった後、音響測定艦が訓練海域から東シナ海にかけて4隻も展開していた可能性がある。単純に考えると、その後も潜水艦を捜索しなければいけない理由があったのだろう。

想像できるのは、AE16を偵察に来ていた中国海軍の潜水艦を発見し、データ収集を兼ねて追尾していた、ということ。
米海軍の駆逐艦ステゼム(STETHEM DDG63)が上海で人民解放軍・海軍とスポーツ・イベントを行っている最中、水面下では火花を散らしていたということなのだろうか。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


駆逐艦カーティス・ウイルバーとともに停泊する音響測定艦エフェクティブ(2015.11.23 撮影)


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