原潜が400回目の佐世保寄港
赤崎岸壁に近づくシャイアン(SSN 773)
米海軍の原潜シャイアン(Cheyenne SSN-773)が5月2日朝、米海軍佐世保基地の赤崎岸壁に接岸した。
シャイアンはハワイ州パールハーバーを母港としているが、4月中旬から佐世保港に一時寄港を繰り返していた。今回の寄港は一連の手順に基づく作業が終了したことから休養のため寄港したと思われる。
佐世保港には1964年11月に原潜シードラゴン(SEADRAGON SSN-584)が日本で初めて寄港していた。
シードラゴンは米海軍の原潜としては6隻目で、全長約82メートル、潜水時排水量約2800トンと、最新の攻撃型原潜バージニア(Virginia)級(全長115メートル、潜水時排水量7800トン)と比較すると、ずいぶん小型であった。
また、海上自衛隊の最新型潜水艦「そうりゅう」(全長84メートル、潜水時排水量4200トン)よりも小型の潜水艦であった。
原潜の佐世保寄港は初寄港から50回目までは27年要したが、次の50回目(通算100回目)まではわずか5年しか要してなく、東西冷戦が激化していた時は比較的少ない寄港回数だったが、冷戦終結とともに増加している。
さらに次の50回目(通算150回目)までは4年と、頻繁に寄港するようになった。
一つには潜水艦を捜索・探知できる能力を持った国がいなくなったことにより、発見される機会が減少したことと、米海軍のHPなどによると、原潜の任務が従来の対潜水艦・対水上艦戦闘に加え、情報収集・監視・偵察(ISR)や海軍特殊作戦(SOF)など、マルチ・ミッションになったことによる。
しかし、原潜の寄港増加は冷却水漏れや事故による原子炉事故などの不安もまた増幅させる。
原潜シャイアンの入港に対し佐世保地区労は入港した当日、対岸の前畑岸壁で抗議集会を開き、原子力防災訓練に参加しない米軍の対応を指摘するとともに、港の軍事基地強化に抗議した。
朝鮮半島情勢について誇張したデマが飛び交っているが、佐世保基地の警戒レベルはシリアへのミサイル攻撃以降の「A」のままで、特段強化されていない。
原潜入港時の米軍の警備体制も通常と変わりなかった。
(RIMPEACE編集委員・佐世保)(5月2日撮影)
対岸の岸壁で行われた抗議集会
2017-5-3|HOME|