揚陸艇LCACが夜間訓練


夕闇の中、港口を通過するLCAC(11月7日撮影)

米海軍佐世保基地の横瀬駐機場(西海市横瀬)に配備されているホバークラフト型揚陸艇(LCAC)の夜間航行訓練が11月7日から3日間の予定で始まった。

LCACの運用については、佐世保港口が幅700メートル(航路幅400メートル)しかないという地理的条件を背景に、安全に配慮して早朝・夜間は運用しないという防衛局と西海市 との協定がむすばれている。
もともとLCACの駐機場は佐世保湾内の佐世保市崎辺地区にあったものを騒音対策として横瀬にある燃料貯蔵所の隣接地を埋め立てて建設したもので、西海町(当時)と町議会は早朝 や夜間に出・入港することが多い漁船の安全に配慮することを前提に基地の新設を受け入れていた。

今回の夜間訓練にあたって西海市と市議会は防衛局に中止するよう申し入れたが、「米軍の都合」でいとも簡単に無視されてしまった。また、長崎県平和運動センターと社民党長崎県 連合は合同で訓練の中止を申し入れた。

第一日目となった11月7日は午後5時前から2機のLCACが港口を通過して出港し、その後日没直後の午後5時半ころと6時前にそれぞれ港口を通過して戻ってきた。

海上自衛隊も保有するLCACは1987年からドック型揚陸艦に順次配備が始まっており、米海兵隊のMAGTF(海兵空地任務部隊)が使用する強襲揚陸手段だが、近年米海兵隊の 揚陸手段が変化する中、現在の運用隻数は64隻にと減少している。
米国議会が承認した「将来艦隊計画」でも明るい将来は期待できず、とうめんはSLEP(艦隊寿命延長計画)で延命を図るしかないようだ。

この時期に地元との軋轢を承知の上で夜間航行訓練を行ったのは、「緊張する朝鮮半島情勢」があれば世論の反辰も少ないとみたのか、それとも米国議会に次年度予算獲得のため能力を アピールしようとしたのか、と疑問を抱かざるを得ない。

現在、強襲揚陸艦(LHD、LHA)ドック型輸送揚陸艦(LPD)、ドック型揚陸艦LSD)のほか、モンフォード・ポイントのような揚陸支援艦(ESD)がLCACを搭載可でき る。

なお、11月6日にはドック型揚陸アシュランドが佐世保に戻ってきた。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)(写真も)


39番錨地で搭載貨物を降ろすアシュランド(11月6日撮影)


2017-11-8|HOME|

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