脱税基地開放で二転三転、佐世保基地

 米海軍佐世保基地(司令官チャールズ・ロック海軍大佐)が8月11日以来、毎週土曜日の夜間に限って基地の一部施設を開放していたことが明らかになった。このことは一般には広報されず、 わずかに米軍基地司令官のフェイスブックで書いていただけ。

 ところがこのことを西日本新聞が9月7日(金曜日)付の地方版で大きく報道して発覚したが、その中身は基地の中の飲食施設「ギャラクシー」のレストランやクラブ、ナイトクラブを土曜日の 夜間(午後8時から翌午前2時まで)開放し、ビールやピザなどの飲食を一般日本人も利用できるとするもの。

 このことについて『日米地位協定第11条(関税)条項に違反している。合衆国軍隊の構成員以外への販売は脱税だ。』という指摘を受けて、米海軍佐世保基地は10日(月曜日)になって急 きょ「問題なので22日以降は中止します。」と開き直って脱税店を継続する姿勢を示した。
 しかしさすがに地位協定違反・脱税行為を継続することについて上級機関から指導が入ったようで、翌11日(火曜日)には即刻中止することを表明した。

 日米地位協定では第11条で米軍人、軍属及び家族に限って日本国内(の基地)に持ち込む物品への関税を免除している。また、同条第8項では「合衆国軍隊は、日本の当局と協力して・・・ 特権の乱用を防止」することが義務として定められている。以前には全国各地の米軍基地で公然と「脱税販売」が行われていたが、指摘を受けて中止されていた。

 米海軍佐世保基地でも1998年6月7日に基地開放に際して基地司令官名で次の内容を記したチラシ(一部抜粋)を配布していた。
 米海軍佐世保基地は、皆様を新しい基地開放プログラムへ心から歓迎いたします。このプログラムの目的は、米海軍と日本地域社会の間の親善と友好関係を高めることでありましす。
 地位協定の条項をさらに検討した結果、地位協定が適用されない方々は、このイベント期間、基地内で、食べ物および記念品を含みそれだけに限らない品物の購買ができないという決定がなされ ました。

 佐世保基地は米軍人等以外への食事の提供が地位協定に違反することを知っていたものと思われる。だから、こっそり脱税店を運営していたのだろう。
 そこまでしても販売実績を上げなければいけない理由は、慢性的な施設運営の赤字がある。佐世保基地には2800人以上の米兵がいるが、そのほとんどが揚陸艦や掃海艦の乗組員。艦船が出港 してしまえば利用者は家族と少数の軍人・軍属だけで、売上は高が知れている。そこで、家族などの利用が一段落した夜間8時以降の「脱税ショップ開業」を考えたのではないだろうか。

 「友好親善」が建前だろうが、何かにつけて抗議のデモ隊に機関銃を向けたり脱税ショップを開業するなど、とても「良き隣人」とは思えないドタバタ劇だった。
 9月12日朝9時ころ、長崎空港を米軍の小型ジェット機が離陸したが、この問題の「指導」に来ていた上部組織の誰かが帰ったのだろう。

(速見篤・RIMPEACE運営委員・佐世保市議) 


「基地開放」のニュースと「中止」の新聞記事


2012-9-15|HOME|