新型の揚陸補助艦、佐世保に寄港


39番錨地に停泊したミゲル・キース


ミゲル・キースの艦橋にはMSCの3色のマークはない(10月9日 篠崎 撮影)

米海兵隊はフォース・デザイン2030を明らかにし、これまでの強襲揚陸作戦から急速展開と沿岸(迎撃)戦闘へと転換を図っている。

展開能力を支えるのが1個沿海域連隊(MLR)を高速輸送できる輸送艦(HST)と大量高速支援能力を持った揚陸補助輸送艦(ESB)と思われる。

そのESBの最新型艦が東アジア(西太平洋)に初めて展開し、沖縄と佐世保に寄港した。

佐世保に寄港したのはミゲル・キース(Miguel Keith ESB-5)で、10月4日から6日まで沖縄・ホワイトビーチに立ち寄った後、9日に佐世保港に姿を見せた。

キースは全長約240メートル、満載時水深10・5メートル、最大積載量約9万トンの巨大な輸送艦で、最大の特徴は半潜没船体(フロート・オン・フロート・オフ FO-FO)構造ということ。
これにより従来の揚陸艦のようなウエル・デッキがなくてもLCACやLCUのような揚陸艇あるいは沿岸警備艇(PB)を搭載でき、上甲板には4機のCH-53E重輸送ヘリコプターも運用できる プラットフォームがある。

海兵隊の新しい戦力計画に基づく運用を想定したものだろう。
米海軍のHPでもキースのことを取り上げている。 USS Miguel Keith Hosts Sailors and Marines to Increase Naval Integration Opportunities (United States Navy、 News-Stories)

類似型(ESD)のモンフォード・ポイント(Monford Point T-ESD-1)は2016年1月以来5回にわたって佐世保に寄港していたが、こちらは艦船記号が米海軍傭船(USNS)であることを示す 「T」がついているが、キースはれっきとした米軍艦(USS)となっている。

キースは当面、事前集積艦隊の停泊場所であるサンパンに配備されることとなった。

新しい海兵隊の戦力デザインの中心環が沖縄に司令部を置く第3海兵師団であるところから、沖縄の負担はますます増大することが心配される。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


2021-10-10|HOME|