新年の米海軍佐世保基地



昨年12月に米海軍佐世保基地に立ち寄った艦船は巡洋艦が1隻、中型タンカーが3隻、貨物弾薬補給艦が1隻だったが、いずれも年内に出港した。

一方、カナダ海軍のフリゲート艦オタワは米海軍佐世保基地の赤崎貯油所岸壁で新年を迎えた。12月20日に入港しているので、異例の長期停泊となっている。

佐世保基地には現在、強襲揚陸艦アメリカなど4隻の揚陸艦に加え、掃海艦が4隻配備されている。
ドック型輸送揚陸グリーンベイが同型のサンディエゴと交代した以外に昨年中の増減はなかった。

しかし、自走する艦船ではないが、揚陸艦など艦船が長期メンテナンスする場合に艦内居住の乗組員を支援する宿泊台船が、従来からいたAPL-39に加え、新たに宿泊台船(APL-40)が配備され、2隻体制となった。
佐世保基地の艦船修理廠(SRF)が拡充されたことと関連した動きだろう。

これまで米軍艦(USS)の修理は外国の造船所で米軍の艦艇の建造を禁止しているバーンズ-トリプソン修正法により定期の軽微な修理以外は米本土で行っていた。
しかし、米国の造船業衰退の関係で、外国(同盟国)で修理すること方向に政策を変更したようだ。

同法に抵触しないよう、米海軍用船(USNS)から同盟国の造船所で修理することを始めたようで、韓国・ハンファオーシャン巨済事業所で貨物弾薬補給艦ウォ―リー・シラー(Wally Schirra T-AKE-8)が、三菱重工横浜製作所本牧工場で揚陸補助艦ミゲル・キース(Miguel Keith ESB 5)が、ジャパン・マリーン・ユナイテッド因島工場で音響測定艦インペッカブル(Impeccable T-AGOS-23)がそれぞれ作業を受けている。ジャパン・マリーン・ユナイテッド因島工場には、音響測定艦エイブル(Able T-AGOS-20)も昨年10月半ばから12月前半まで入っていた。

このほか日本国内では佐世保重工佐世保造船所も対象となっているようで、宿泊台船の追加配備はこの準備ではないかと思われる。

米国造船業の衰退が日本の造船所を軍需工場にすることに注意が必要だ。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


三菱重工横浜製作所本牧工場で年を越したミゲル・キース(24.12.29 星野 撮影)


2025-1-2|HOME|