佐世保に米海軍測量艦が長期停泊中

SSK蛇島岸壁に停泊中のヘンソン(26.9.19 篠崎 撮影)
米国外での補助・補給艦修理が常態化か
佐世保の佐世保重工佐世保造船所(通称SSK)で米海軍の測量艦が長期間停泊している。
停泊しているのは米海軍輸送コマンド(MSC)が運用している測量(海洋調査)艦ヘンソン(USNS Henson T-AGS-63)で、9月14日からSSKの修繕岸壁に停泊している。
米国の造船産業の衰退については、米国防総省が発表した初の国家防衛産業戦略(National Defense Industrial Strategy NDIS)報告書の中でも指摘され(2024.1.30 Forbes.com)、また、米国議会調査局(CRS)がこの数年にわたって指摘している(例=Navy Force Structure and Shipbuilding Plans: Background and Issues for Congress January 20, 2026)ように、十分な軍艦建造能力を失っていることが課題になっている。
このため、「Foreign Shipyards Can Help the U.S. Navy Build Its Fleet October 2024 U.S. Navy(Navy.mil)」などとして、2024年3月には米海軍長官デルトロ(当時)が「同盟国」(日本と韓国)で補助・補給艦の修理を発注への協力を求めていた。
翌年にはトランプ政権下で後任となったフェラン海軍長官も同様の要請のため各国を回っていた。
具体的には縮小した米国内の造船業の現状から、不足する造船業の能力を補うため海軍用船(USNS)の修理については日本(三菱重工、ジャパン・マリン・ユナイテッド、佐世保重工=SSK)や韓国(現代重工業、ハンファオーシャン)の造船所での作業が始まっている。
佐世保については2024年5月6日から6月6日までヘンソンが、また2025年10月27日から11月3日までは測量艦マリー・シアーズ(Mary Sears T-AGS-65)がSSKの岸壁に停泊し、修理作業を受けていた。
佐世保には米海軍佐世保基地に艦船修理廠(SRF-JRMC)佐世保支所が配備されている揚陸艦のメンテナンスに当たっているが、この部隊とは別に補助・補給艦の点検・修理が必要になっているのだろう。
トランプ氏の海運復興計画が失速
米国の軍艦・軍用船の建造だけでなく、民間船の建造もトランプ大統領の政策でさらに失速しているようだ。
ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal) 2025.7.3)は米国造船業界の苦境を次のように指摘している。(以下、引用)
『ドナルド・トランプ米大統領は2期目最初の主要な議会演説で、米国の造船業を復活させると約束した。
それから4カ月がたち、米海運業の長年の衰退を反転させるというトランプ氏の野心的な計画は失速している。
政府効率化担当チームは、米国船籍の商船に必要な貨物を供給している海外向け食料支援プログラム(国際開発局(USAID)「フード・フォー・ピース(平和のための食糧)」を停止させた。ある上院共和党幹部は、軍用船建造のための予算が削られていると警告している。海運政策の調整のために新設された部署のスタッフは7人から2人に削減された。
―中略― 同プログラムが提供する貨物は米国の海運会社にとって重要な収入源だった。一部の業界関係者は、同プログラムが別の政府機関の下で早期に復活しなければ、係船作業や船員の解雇を始めなくてはならなくなると警告している。』(引用終わり)
米国造船産業の衰退と日本への傾斜に警戒が必要
このところ三菱重工やジャパン・マリン・ユナイテッドの各地の作業所で米海軍の補給艦の修理が行われている。
将来的には日本で米国の軍艦を建造することも検討されているという。
米国の国防産業戦略に一層組み込まれて行くことに警戒が必要だ。
(RIMPEACE編集委員・佐世保 篠崎正人)

2024年5月、SSK蛇島岸壁に停泊中のヘンソン(24.5.21 篠崎 撮影)

2025年10月、SSK蛇島岸壁に停泊中のマリー・シアーズ(25.10.28 篠崎 撮影)
2026-9-25|HOME|