ー海の偵察拠点・佐世保ー
中国・海南島沖で起きた米海軍の偵察機EP−3Eと中国空軍機の接触・墜落事件に関連して、米海軍佐世保基地で大きな動きがあった。
それと共に佐世保港に出入りを繰り返す原潜と測量艦が、中国大陸周辺海域(東シナ海、南シナ海、黄海)で偵察行動を繰り返していたことも明らかになった。
星条旗新聞によると「EPー3の前に、中国の戦闘艦艇が測量艦(ボウディッチ)を追い払う」と題したレポートの中で、3月25日、黄海(東シナ海)の
公海上で海洋環境(地形)と音響などの周辺データを収集していたボウディッチは、接近した中国海軍の戦闘艦艇にEEZ(経済的排他水域)外に退去される
よう求められ、公海(インターナショナル・ウォーター)に排除された、というもの。
更に、「測量艦は佐世保港から出港し、3隻の原潜の運行を支援するため、連絡をとり合っていた」ことも明らかにした。
ボウディッチはその後、4月29日になって入港したが、3隻の原潜とはサンタフェ、シカゴ、ロサンゼルスではないかと思われる。
−偵察機返還をめぐる動きー
中国・海南島事件が起きた翌2日、佐世保港では原潜シカゴが無通告で入港し、佐世保から2,500キロ離れたところで起きた事件との関連もうわさされた。
しかし原潜はこの事件に関連した動きではないことがほぼ確実となったが、他方では、中国沿岸での海の偵察拠点が米海軍佐世保基地であることも明らかになった。
では、海南島の事件と佐世保基地はどのようにリンクしたのだろうか。
以下、関連すると思われる米軍艦船の動きを列記する。
4月下旬 偵察機機体返還交渉本格化
4月29日 ボウディッチ入港
5月4日 車両貨物輸送船ケープ・ハドソン入港
「コブラ・ゴールド訓練の車両と機材をタイに運び、訓練終了まで待機」
測量艦「ジョン・マクドネル」入港
原潜サンタ・フェ入港、同日出港
ボウディッチ出港
5月7日 測量艦ジョン・マクドネル出港 行く先は「南シナ海」
佐世保を出港する測量艦ジョン・マクドネル
5月9日 ボウディッチ入港
巡洋艦カウペンス、ビンセンス、フリゲート艦バンデグリフト入港
5月10日 車両貨物輸送船ケープ・モヒカン入港
「韓国での訓練のため待機」
原潜シカゴ入港
5月11日 原潜ロサンゼルス入港、同日出港。
原潜シカゴ出港
カウペンス出港 行く先は「南シナ海」
15日〜 巡洋艦ビンセンス出入港の繰り返し。SH−60の訓練
5月20日 車両貨物輸送船ケープ・モヒカン出港 「韓国へ」
5月24日 「機体返還合意」発表
5月25日 ケープ・ハドソン出港 「コブラ・ゴールド訓練機材回収のため」
バンデグリフト出港、27日入港
5月27日 星条旗新聞「EPー3Eは解体してロシアの航空機で輸送」
5月28日 バンデグリフト出港 30日横須賀帰港
5月31日 ビンセンス出港
6月3日 カウペンス入港
6月6日 ビンセンスとカウペンス、横須賀帰港
6月6日 測量艦「ボウディッチ」入港
こうしてみると、偵察機の機体返還方法をめぐって、海上輸送の場合に備え貨物船とその護衛のための体制を佐世保で整える一方、中国沿岸で偵察的測量を
繰り返す原潜と測量艦及びその護衛艦が佐世保基地に集結していたのではなかっただろうか。
偵察機の機体返還に対応してはケープ・ハドソンとケープ・モヒカンという2隻の輸送船,護衛としてビンセンスとバンデグリフト。
投棄された機材回収のため測量艦ジョン・マクドネルと護衛のためカウペンス。引き続く中国沿岸の調査のためにボウディッチとその他の原潜。
そういう構図が見えてくる。
偵察機の返還が合意された途端、集結していた戦闘艦や貨物船は相次いで佐世保基地を離れ、緊張状態は解消した。しかしまだ佐世保を起点とした
海の偵察活動は続いている。
佐世保・軍事問題研究会