原潜に異常事態発生か? 佐世保入港のサンタフェ


米海軍佐世保基地の赤崎岸壁に接岸した原潜サンタフェ。 沖合いに潜水作業支援用の小型ボートが停泊している。


赤崎岸壁に接岸した原潜サンタフェ
岸壁には修理機材と思われる黒いカバーに入ったものが並べてある。

2日午前10時過ぎ、佐世保に入港した原潜サンタフェは推進系統に明らかにトラブルを抱えたまま入港した。
 11月29日(土曜日)、一時寄港した折も予定していた港中央の停泊地(35番錨地)を通り過ぎ、約1キロほど奥の、米軍への提供水域ながら民家に近い轟湾まで進んでやっと停船したことが確認されていた。

 2日入港したときは通告時間の8時半より1時間30分ほど遅れた午前10時過ぎ頃、通常よりはるかに遅い速度でのろのろと佐世保港に入ると、通常は使わない民間会社の港内タグボートに曳航されるようにして赤崎岸壁に接岸した。
 入港時、原潜の上には潜水隊員(フロッグメン)が待機し、また岸壁に停泊した後は周辺に潜水作業を支援するためと思われる小型ボートも現れるなど、これまでにない様子が確認された。
 入港翌日には大量の潤滑油〈タービン油?〉を艦内から排出した様子もうかがわれた。

 情報を総合すると、推進機関(動力伝達装置、プロペラ、回転数制御装置)の部品に異常あるいは不具合が発生したか損傷を受け、船を停止するためのプロペラが正常に働かなくなったものと思われる。その結果、低速航行を余儀なくされ通常の速度では運行できず、岸壁接岸も自力では出来なかったようだ。

 原潜入港の情報が非公開になった中、「ブレーキ」が故障したままでわずか400メートルの航路幅しかない狭い港口を通過するのは、民間船舶の安全に対しては危険極まりないことだ。また、状況も説明しないまま修理作業を進めることは、原子炉を搭載し放射能漏れの危険をもつ核動力艦としては市民の安全を無視した軍事優先の行動であり、早急に事実を公表すべきだろう。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)

原潜サンタフェは、最近では11月29日に佐世保、11月16日にはホワイトビーチに、それぞれ短時間寄港している。
また、9月には佐世保に短時間寄港したほか、横須賀に6日間、ホワイトビーチに3日間寄港している。


'2003-12-4|HOME|