2001年は佐世保基地に出・入港した艦船は合計152回に及んだ。 日本周辺では米国と中国の角逐を反映するかのようにいくつかの出来事があったが、そのたびに佐世保基地では関連する米軍艦船の動きが確認された。特徴としては次のことが指摘できる。
1 原潜の入港は昨年と同数。
米海軍の新しいドクトリン「フォワード・フロム・ザ・シー(さらに海から陸への戦力投射を!)」に基づいた沿海域での行動が目立った。大陸棚の浅い海域で行動するための調査・測量活動は従来にも増して活発に行われた。ハワイ・パールハーバー沖で起きた漁業実習船と原潜の衝突事件で一時的に原潜の入港は減少したものの、4月には再び頻繁な入港が確認された。 しかし、9月に起きたテロ事件とその後の報復戦争の影響で作戦行動がインド洋に集中したため、それ以降の入港は減少した。
2 巡洋艦など洋上作戦艦の入港増加
黄海で海洋調査中の測量艦(その海面下には原潜もいたのだろう)が3月下旬、中国海軍の艦船に接近を受けて以降、測量艦の周辺で米海軍の洋上作戦艦が護衛するようになった。また、4月に起きた米海軍偵察機と中国空軍機の接触・墜落事件では、EP3の回収に備えて大型の特殊貨物船と巡洋艦などが佐世保に待機した。 しかし、報復戦争では扇情がインド洋であることを反映し、作戦艦船が入港することはなかった。
3 日常化する測量艦の入港
原潜とともに大陸棚の調査に当たっている測量艦の入港は、昨年に引き続き増加した。民間からチャーターした測量船も含め、日本海から東南アジアまでの沿岸・近海を動き回っている。テロ事件の直後は「相棒」の原潜や護衛役の作戦感染がいなくなったため、一時的に動きを止めていたが、年末になって活動が再開された。
4 揚陸艦はアジアに定着
佐世保基地に配備されている揚陸艦隊は沖縄駐留の海兵隊とともにアジアでの作戦や訓練に出かけた。ほぼ年間スケジュールに従った二国間訓練をこなした。主なものは次のとおり
タンデム・スラスト(オーストラリア、2月、10月)、CARAT(アセアン諸国、2〜3月)、バリカタン(フィリピン、4月)、コブラゴールド(タイ、5月)
なお、当初予定されていたフォールイーグル(韓国、11月)は報復戦争のため中止された。
5 沖縄での海兵隊訓練、グアムに移転
常に問題を起こしている沖縄駐留海兵隊の定期訓練「SOCEX」と「ブルー・グリーン」がグアム訓練場所を移した。「沖縄県民への負担を軽減するため」というのが理由だが、グアムでは知事が率先して海兵隊の誘致活動を行っている。港湾設備の整備ガ進められ、合わせて訓練場所の確保が簡単なためというのが本当の理由だろう。迅速な移動のため高速貨物船「WEST PAC EXPRESS」が走り回った。
以上