米軍基地「開放日」に「脱税ショップ」多数出店




150円のバドワイザー、500円の特大スペアリブ。フレンドシップ・デーと称する基地内の催しで、米軍人や家族たちが出す屋台で売られるものは、彼らが消費することを前提に本国から持ち込まれたものだ。地位協定によりこれらに日本の関税はかからない。
 割安感があって、飛ぶように売れているのをよく見かけたが、これはおおっぴらに行われている脱税行為だ。三沢基地のフレンドシップ・デーの出店に、函館税関八戸支署が待ったをかけた。6月から毎日曜日に開門している佐世保基地内でも、目玉だった飲食やショッピングが中止となった。
 星条旗新聞は「この出店で得られた利益は、基地内のコミュニティー関連の費用、例えばクリスマス・パーティーや奨学金などに使われる」と伝えている。そういった活動自体は結構だが、その資金を密輸もどきで作ることをどう考えるのか。
 日米合同委員会で日米親善のための例外措置として認めれば、関税法違反にならないという。そんなことで支えられる「日米親善」とは、なんと底の浅いことか。とれる所からはきちんと徴税する日本の税務当局はどう考えるのだろうか。
 7月にはキャンプ座間や横田基地など大きな「基地開放日」が続く。この問題をどう扱うのか注目したい。


(参考資料)佐世保基地の毎日曜日開放が始まった6月7日に、米軍が配ったチラシ。

米海軍佐世保基地は、皆様を新しい基地開放プログラムへ心から歓迎致します。このプログラムの目的は、米海軍と日本地域社会の間の親善と友好関係を高める事であります。地位協定の条項を更に検討した結果、地位協定が適用されない方々は、このイベントの期間、基地内で、食べ物及び記念品を含むがそれだけに限らない品物の購買が出来ないという決定が為されました。私達は、皆様が皆様の訪問を十分に楽しまれる事を心から希望致しております。訪問される方々は、必ずメインゲートからお入り下さい。メインゲートは、10時から4時まで開放されます。駐車は、ご遠慮下さい。米海軍は、警備上の理由で基地への立ち入りを拒否する権利を保有します。

(以上、原文のまま)


(このチラシの読み方)

「日曜日は基地でお食事を」。6月7日から7月はじめまで、好評ならばさらに続ける。士官クラスしか利用できない高級レストランも開放され、9ドル50セントで肉料理、ケーキが食べ放題。その裏には、赤字に悩む米兵用の福利厚生部の増収のねらいも。(98.5.24 朝日新聞佐世保版より)

 安い食事や買い物が呼び物だったが、この記事が出た直後にこの「呼び物」に問題があることが遠く離れた三沢から提起された。三沢市のアメリカンデーに、米兵が基地から持ち出して販売するアメリカンフーズは税法上問題がある、という税関の判断で、米兵の出店が中止された。三沢のアメリカンデーは基地外の催し。しかし、佐世保基地内での飲食も全く同じ問題が生じる。結局7月5日に米軍佐世保基地は「買い物は一切できない」と発表し、当日、この前代未聞のチラシを配ることになった。

 蛇足ながら、今年に限って三沢のアメリカンデーが「摘発」された背景には、三沢基地を共同使用する空自隊員が米軍のPXを違法に利用していたことが5月中旬に税務当局にバレた、という事情があったという。


HOMEMISAWAATSUGIIWAKUNISASEBOOKINAWASEAAIRSONOTA|'98-7-31