NAVYの演習制限

米海軍の日本における訓練の制限としてあげられているのは、NLPを硫黄島で実施しな ければならないこと、対地攻撃訓練、電子戦訓練も遠くで行わなければならないことだ。
艦載機の対地攻撃訓練は、沖縄の離島の射爆場か、サイパンの北の無人島ファラロン・デ ・メディニラでしか出来ない。艦載機の電子戦訓練は韓国のピルサン演習場まで行く。


マリアナ群島(ファラロン・デ ・メディニラは真中あたりにある)

いずれも、使用可能な訓練施設が、艦載機の基地厚木から遠く離れている。そのため、別 の基地に展開しなければならない日数が異常に多くて困る、というのがレポートに記載さ れた米海軍の不満だ。
さらに、実弾演習についても触れられている。「厚木基地での実弾貯蔵禁止、実弾を携行 しての離陸禁止」という制約のため、ある航空部隊の指揮官は「部隊の即応性を維持する 訓練に影響がある」と話している。
水上艦の訓練でも制約が見られる。標的をコントロールする施設がないために、日本や沖 縄ではRAM(艦上発射新型対空ミサイル)発射実験が出来なかった。代替標的を開発し て2002年3月に沖縄とファラロン・デ・メディニラで初めての水上艦のRAM発射実 験を行った。



RAM(国防総省のページより)

我々から見れば傍若無人としか言いようのない訓練を行っている米軍も、彼らの基準を満 たすためには、さらに広い空域や施設が必要だと言っているのだ。このGAOレポートで は、各部隊からの報告書に演習場なその制限についての記述が少ない、ということが書か れているだけだ。しかし、この報告をテコに、演習場の拡大や、住民生活に多大な影響を 与える「米軍の行動に対する制限解除」を米軍が要求してこないとは限らない。十分な注 意が必要だろう。


'2002-7-14|0204 GAO index|