さまざまな「制約」の存在

米本土以外に展開する米軍部隊が制約されている訓練は、GAO報告によれば、機動作戦 訓練、実弾演習、夜間および低空飛行訓練などだ。演習場の狭さや、使える実弾の制限、 軍用機の飛行可能時間などが、その原因だという。
イタリアでは、1993年以来、米軍機の飛行を1日あたり44ソーティー以下に制限してい る(1機が一回飛行すれば1ソーティー。2機編隊で1回飛べば2ソーティーとなる)。 厚木や三沢にこの制限があれば、昼間のうちに飛行回数オーバーとなり、NLPなど絶対 に出来ないだろう、というのはRIMPEACE編集部の感想だ。
他にも、F16が三沢周辺の自衛隊基地へのアプローチ訓練が出来ないとか、厚木への実 弾持ち込みが禁止されていることなどがレポートされている。
ようするに、米軍は駐留している国が課している制限に、(緊急時の対応は別として)嫌 々ながら従っているのだ。このレポートは、そんな米軍司令官たちの不満の集積とも読め る。
これを駐留している国の側から見るとどうなるか。駐留軍に対する制限は、その国の政府 が主体的に行うものだ。米軍の都合を第一に考えることなどない。特に、日本政府の態度 には疑問を感じてしまう。
低空飛行にたいしても、無通告のNLPにしても、日本政府がきちんと制限をすれば、少 なくとも平時には米軍は従わざるをえないのだ。住民と米軍の利害が尖鋭に対立している 時に、日本政府は米軍寄りの判断しかしない。安保条約とは別に国内法などの制限で解決 できることがたくさんあるのに、という思いは住民共通のものだ。


'2002-7-14|0204 GAO index|