「木更津基地にオスプレイ修理拠点」 防衛省説明の問題点−2

場周経路の高度と緊急時の到達距離


場周経路の高度が1500フィートと900フィートの場合の滑空時の到達距離の差

木更津基地の場周経路の高度は、西側の経路で900フィート。オスプレイが試験飛行をする時に常用する経路だ。厚木や普天間の固定翼機の場周経路は高度1500フィート以上だ。この差が、緊急時にオスプレイが滑空して木更津基地に到達しようとした時の飛行可能な距離の差となって現れる。

オスプレイがオーバーホールの後で繰り返し行うテスト飛行では、この経路を固定翼機モードで飛ぶことになる。

「オスプレイが固定翼機モードで飛行中に2つのエンジンが停止した時は、双発固定翼機の緊急時とよく似た操作が必要だ。ただし、固定翼機のようにプロペラをフェザー状態にすることはオスプレイには出来ない。オスプレイの滑空率は約4.5:1、対気速度170ノットで風車効果が効いているときの降下率は毎分3500フィートだ。着地スピードは機体の総重量で変わるが、フライト・エンヴェロープの真ん中の場合は130ノットになる」(マイク・マッキニー、退役した米空軍のヘリ・ティルトローター機のパイロット、米空軍ウェポン・スクールの前インストラクター。Vertical Magazine 2012.3.28 Flying the V-22

退役空軍パイロット、マイク・マッキニー氏によれば、滑空率は4.5だから場周経路の途中でエンジンが停止した場合、木更津基地では最大到達距離は4050フィート、他の基地と比べて2700フィート短くなる。地面に到達するまでの時間は約10秒の差となる。

滑走路の向きが南向きの場合、滑走路の北端から4050フィート離れた位置、小櫃川を越えるあたりより前にエンジン停止が起きれば、高度900フィートで場周経路を飛行するオスプレイは滑走路に到達できずに墜落することになる。

緊急時の対処には、高度が高いほど対処の自由度が上がる、というのは操縦のイロハ。場周経路の高度が900フィートしかとれない木更津基地が、オスプレイの修理基地に向いていないことの理由の一つだ。

(RIMPEACE編集部) 


場周経路の黒い線の上を飛んでいるオスプレイは、エンジン停止で滑走路に到達できない
黒い星印は滑走路端より約4000フィートのポイント


2012-11-16|HOME|