「木更津基地にオスプレイ修理拠点」 防衛省説明の問題点−3

基地の外での転換モードが必至


木更津基地の滑走路は、基地の敷地いっぱいに伸びている。滑走路の長さは1830m(約6000ft)

普天間基地の海兵隊オスプレイのオーバーホールを陸自木更津基地で行うことを国が決めて、11月5日に木更津市に説明に来た。市議会基地対策特別委協議会で防衛省側は「機体が不安定になると指摘されている、回転翼を水平から垂直に回転させる離着陸時の動作については『1キロ程度あれば可能』と述べ、滑走路が約1.8`の駐屯地内でほぼ行われることを示唆した」(2015.11.6 朝日千葉版)

2012年4月のオスプレイ普天間配備のレビューの中に、高度900フィート以下で周回して沖縄ブルービーチに着陸するオスプレイの訓練コースの飛行シミュレーションが乗っている。オスプレイの飛行環境として、木更津の周回飛行に近い。沖縄中部の訓練空域の中を主に飛ぶコースで、空域の上限が1000フィートのところが一部あるために飛行コース中の高度も最高が900フィートになっている。
離陸の時のデータを見ると、テイクオフからナセルの角度が0になるまでの水平方向の飛行距離は2800フィート、約1qとなっている。これが防衛省の言い分の根拠なんだろう。

では、着陸時は?
着陸するオスプレイが、このコースで固定翼機モードから転換モードに移行するのは、着陸地点の7195フィート前だ。
木更津基地の外で転換モードで飛ばないというオスプレイが基地の境界内にはいってから転換モードに移行し、ヘリモードになって着地するまでに、レビューの飛び方では滑走路を飛び越えてしまう。「1キロ程度あれば可能」どころか「2キロ以上を要す」となるのだ。

固定翼機モードで場周経路を飛行し、基地の境界を越えてからへりモードに移行して滑走路内に着陸するのは、かなり無理をしないと出来ない、ということだ。こんな時、米海兵隊のオスプレイ・パイロットはどんな飛行をするのだろうか。
「運用上必要となる場合を除き、垂直離着陸モードでの飛行を米軍の施設及び区域内に限ること、また、転換モードでの飛行を可能な限り短くすること」という日米合意をも無視して、早くから転換モードに移行するのだ。普天間基地の航空安全担当士官が、日米合意とは別の飛行基準に従って飛ぶ、と日本記者クラブ沖縄取材団に答えている。

木更津基地滑走路の1.5倍の長さの滑走路がある普天間基地で、基地の外でヘリモード、転換モードがしばしば確認される背景に、パイロットが皆、日米合意を確信的に軽視している現実がある。 滑走路が短い木更津基地へのアプローチで、米軍オスプレイが合意をも無視した転換モードでの飛行が行われることは確実だ。木更津の短い滑走路では、防衛省が示唆した基地内でのモード変換の完結は、沖縄でのオスプレイの飛行を見る限り非現実的だ。

(RIMPEACE編集部) 


高度900フィート以下で周回して沖縄ブルービーチに着陸するオスプレイの訓練コース(オスプレイ普天間配備のレビューより)
固定翼モードの飛行から急速にナセルを上げて着陸するまでの飛行距離は7195フィート


2012-11-18|HOME|