また増えた事故率、MV−22オスプレイ


12月9日の着艦失敗事故を反映させたMV−22オスプレイの事故率推移。飛行時間の一部に推定値を含む。

MV−22オスプレイが12月に入ってまたクラスAの事故を起こした。上掲の棒グラフは10万飛行時間当たりのMV−22オスプレイの事故率が、飛行時間が積み上がると増えていくことを示している。

普天間配備前のレビュー、防衛省の「MV−22オスプレイの事故率について」など入手可能な資料から抜き出した事故率をもとに、飛行時間を横軸にとった事故率の棒グラフだ。 初めの事故の時の飛行時間は3万時間と仮置きした。経過月数に比例して増やした飛行時間データや、誤差を見込んで飛行時間を比例計算で得た値よりより1割ほど多くとったものもある。(事故率はその分小さく出ている可能性もある)

普天間基地にオスプレイが配備される前に、防衛省は「MV−22オスプレイの事故率について」という文書を出した。その中で「海兵隊は、事故率を航空機の機体の安全記録を代表する指標として重視」と述べている。代表的な指標が上がり続けていることを海兵隊は、そしてその見方を引用した防衛省はどう考えているのだろうか?

同じ文書の「現在の事故率」のページでは、MV−22の事故率は1.93であり、海兵隊の平均(2.45)を上回る安全記録だ、と主張している。海兵隊内部での事故率の比較が、MV−22の安全性の証明にはなり得ないのは明らかだが、12月の着艦失敗事故で、MV−22の事故率は2.5に近づいている。オスプレイの安全の根拠として無理に掲げた、海兵隊全体の事故率の平均値より低いから安全だ、という屁理屈さえも通らない状況になっている。

普天間のオスプレイの整備拠点を陸自木更津駐屯地に置こうと画策する防衛省は、11月5日の木更津市側への説明で、オスプレイの墜落や死亡事故などの重大な事故の発生率が飛行10万時間あたり2.12件であるとした。この事故率には、半年前の5月にハワイで起きた死亡事故が含まれていない。防衛省はあえて低い数字で説明した、ととられても仕方がないやり方だ。
今後、木更津市だけではなく、自衛隊のオスプレイの配備を国が考えている佐賀県・市や、CV−22オスプレイの新規配備を押し付けようとする横田基地周辺自治体にも防衛省は説明を繰り返すだろう。その時に、防衛省の挙げるオスプレイの事故率には最新の事故が反映されているのか、そして何よりも時間の経過とともに事故率が増え続けることの危険性の認識をただすことが必要だ。

飛行時間が積み重なれば事故率は落ちていく、というのが「MV−22オスプレイの事故率について」文書の中で米空軍がCV−22の高い事故率について言っていることだ。逆に事故率が時間の経緯とともに上がっていくような航空機があるのだろうか。そのことだけでも、オスプレイの危険性は明らかになってくる。

そんなオスプレイは、今沖縄で県民の頭上を飛び回っている。

(RIMPEACE編集部)


2015-12-31|HOME|