オスプレイのハワイ墜落事故報告を見る−2

「エンジン片方だけでも飛行継続」はウソだった

太平洋海兵隊の事故報告メモは、あまりに短く重要な点を省略しているとみられる。ハワイの事故調査の中間報告を入手したエイビエーション・ウィークの10月19日付けの記事 "HAWAII V-22 ACCIDENT INVESTIGATION POINTS TO NEW INGESTION ISSUE" も同時に見ていこう。

同記事によれば、事故機が降下率をコントロールできずに堕ちた時、編隊を組んでいた2機目のオスプレイもやはり出力を喪失していて事故と紙一重の状態だった、と中間報告は言っている。
これば、事故機に何か特別の原因があって堕ちたのではなく、すべてのオスプレイが土砂の吸い込みによりエンジン停止に陥りやすいことを示している。

事故機は両方のエンジンが停止したのだろうか?
今回発表された事故報告メモには、「繰り返し持続して行われたブラウンアウト状態での着陸が、左エンジンを停止させ出力をなくし、機体が地面に堕ちた」「砂と土の吸引がタービンのブレードや羽根にその成分の固着をもたらし、左エンジンのコンプレッサーがストールして出力が落ち、結果的にハードランディングとなった」と書かれている。
左エンジンが停止したら堕ちてしまった、というのだ。

普天間基地にオスプレイを配備するため「オスプレイの安全性」を確認しあう日米合同委員会が2012年9月19日に行われた。同日付で出された「MV-22オスプレイ オートローテーションについて」(防衛省)の中で太字で「一基のエンジンのみで両翼のローターを回転させ飛行継続可能」と強調し、さらに「一方の故障が他方に影響しない独立性を確保した設計」と補強している。
また、「ロールスロイス社製高信頼性エンジンを2基搭載」ともうたっている。


2012年9月19日の防衛省文書「MV-22オスプレイ オートローテーションについて」の1ページ

ところが、片方のエンジンが止まったら堕ちてしまった。
「ロールスロイス社製高信頼性エンジン」については、ハワイの事故調査の中間報告に触れられている。「問題を複雑にしているのは、基礎データの欠如だ。ロールスロイス社製 AE1107C エンジンはCMAS(カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素)吸引に対する耐性について、これまでテストしたことがない」(エイビエーション・ウィークの10月19日付けの記事)
防衛省がいうところの高信頼性は、一皮むけばこの程度のものだ。

ハワイの事故一つで、防衛省の「オスプレイの安全性」の根拠が飛んでしまった。沖縄で、佐賀で、岩国で、横田で、木更津で繰り返してきた、「オスプレイは安全」という事実と異なる説明をやり直してもらおうかね。

(RIMPEACE編集部) 


オスプレイの下向きの強い排気で巻き上げられる土砂。NAVAL AIR SYSTEM COMMAND のニュースページより


2015-11-28|HOME|