米電子偵察機と空母,揚陸指揮艦の軌跡

昭文社「世界地図帖」の一部使用


 米電子偵察機EP3と中国軍の戦闘機が空中衝突し、EP3は海南島に緊急着陸した。

事故の直接の原因がどちらにあるかは別にして、沖縄・嘉手納基地をベースとした米軍の、この海域での偵察活動がなければ、こんな事故は起こりようもなかったことは事実だ。

EP3が緊急着陸したとき、横須賀を母港とする第7艦隊の2枚看板が、いずれも付近の海域にいたのだ。これ自体は偶然だとは思うが、その後2隻そろって(仮に予定の行動だったにせよ)あさっての方向に進んでいった。

星条旗新聞社の横須賀支局長は、1968年におきたプエブロ号拿捕事件との比較で、EP3乗員を案ずる記事を書いている。この記事を読んで当編集部は別の側面から2つの事件の比較を考えた。確かに事件を取り巻く政治状況はまったく違う。交渉相手との国交の有無だけでも天と地との差だ。しかし、それでもプエブロ号事件の時に見せた空母の派遣という荒っぽい動きと今回の空母の「おとなしい」動きとの差には、中東でよく見られる米国のダブルスタンダードのにおいを感じざるを得ない。

このEP3は艦隊偵察航空隊VQ−1の三沢基地への分遣隊に所属し、定期的に三沢から嘉手納基地に派遣されている機体のうちの1機だ。VQ−1本隊は米国西海岸のウィットビーアイランド基地にいる。三沢や嘉手納は、戦闘機の基地だけでなく、アジアの「紛争地域」への偵察行動の一大拠点でもある。


三沢基地に着陸した米海軍EP3


嘉手納基地にアプローチするEP3


ページの作成日付: 2001年4月7日. |HOME|