備蓄中の陸軍LCU、横須賀基地に移動


横須賀基地3号バースに接岸する2隻の陸軍大型揚陸艇(LCU 2007,2009)(2011.6.22 撮影)

横浜ノースドックに備蓄・保管されている米陸軍上陸用舟艇セットのうち、最大の自走船LCU(大型揚陸艇)が2隻、横須賀基地に移動 した。21日中の移動と見られる。

少なくとも2008年から年に一度、横浜ノースドックで備蓄しているタグ・バージを実際に動かす演習「パシフィック・リーチ」が行われて いる。08年は6月下旬、09年は8月半ば、2010年が8月下旬から9月上旬に行われた。

「パシフィック・リーチ」が始まる前から、備蓄中のタグやバージが移動をはじめ、陸上保管のタグが組み立てられて水上に降ろされたりする。 今回も既にWT(Warping Tug),CF(Causeway Ferry)などが海上に降ろされ、裏のバースにつながれ、ST(Small Tug)も水上に降りた。

昨年の「パシフィック・リーチ 2010」のハイライトは、ノースドックで第一軍団前方司令部の車両を積み込み、伊東まで2隻のLCUが 海上輸送した。そのときのLCUが今回横須賀に来ている "Caraboza(2007)" と "Broad Run(2009)"だ。

3月11日に大震災と津波で東北地方の海沿いの集落が被災し孤立した。そのとき、半年前の米陸軍のLCUを使った演習はこういう事態を 想定していたに違いない、と半ば感心したものだった。だが実際にはノースドックで保管されていたLCU等の舟艇は動かなかった。
救難物資を積み込んで相模湾を越えた訓練は、実は指揮所を海路展開する軍事訓練だったのではないのか。

今回の2隻のLCUの横須賀移動は、演習の中でのどんなシナリオに基づくものか、それは未だ不明だ。しかし、福島第一原発事故にと もなう放射線汚染を避けるために、8万人以上の関東在住の米国市民の退避計画を作った米軍ならば、このLCUを使った沖合い停泊中の 艦船への人員輸送というシナリオがあっても不思議ではない。
2プラス2の共同発表の中に「非戦闘員退避活動における二国間の協力を加速する」という一節が入ったことは、8万人退避計画を肉付 けする必要性を米国が意識していることを示している。

(RIMPEACE編集部)


20日までは横浜ノースドックにいた2隻のLCU。既に備蓄場所からEバースに移っている(6.20 撮影)


2011-6-23|HOME|