横浜ノースドックとパシフィック・リーチ(PR)演習(9)

フォールイーグル演習に組み込まれたPR演習−1


ノースドックから運ばれたブルドーザ2台が砂浜を掘り、MCSを組み立てた桟橋がそこに突っ込む


最初にLTに曳かれてノースドックを出たクレーンバージが、ポハン港のバースに接岸している

米韓合同演習フォールイーグルが4月末に終了した。この演習のハイライトとでもいうべき米韓合同の揚陸演習が行われた韓国・ポハンで、海上からの統合合同兵站演習(Combined Joint Logistics Over the Shore, CJLOTS)がフォールイーグル演習に組み込まれて実施された。
港湾施設の無いポハン港東の砂浜に、戦闘車両を揚陸するためのさまざまなシステムが展開された。この演習は「米韓両軍の相互運用性、意思疎通と共同作戦遂行能力を高める」ことを目指す ものだった。そして、横浜ノースドックを舞台に始まった、陸軍予備役兵士が軍事物資の輸送を訓練するパシフィック・リーチ演習も、韓国・ポハンに舞台を移してCJLOTSに統合された。

在韓米軍のフリッカーに投稿された写真や解説から、ポハンでのCJLOTS演習に参加したのは以下の艦船と判断される。
事前集積艦ジョンPボボ(T-AK 3008)、陸軍揚陸艦ウィリアムBバンカー(LSV-4)、沿岸燃料配送システム搭載艦KRウィーラーと作業船ファストテンポ、いかだセット(Modular Causeway System, MCS)を横浜NDからポハンに運んだ貨物船ISE、そして大型揚陸艇(LCU)2隻、中型揚陸艇(LCM)、WTとLTのタグたち、クレーンバージ(BD)。
ノースドックから運ばれた物資にはMCSのほかに内陸部燃料輸送システムの入ったコンテナ18個があった。またブルドーザ2台もLCUに積まれてポハンに運ばれた。

ノースドックを3月30日夕方出港した貨物船ISEは、3日目の4月2日昼過ぎにポハン港の桟橋(下図A)に接岸した。隣にはすでに到着していたクレーンバージ(BD)と航洋タグ(LT 801)が待って いた。貨物船ISEは4月3日深夜にポハンを出港して中国の象山港に向かった。積んできたタグWT,中型揚陸艇LCMは当然ISEのクレーンで海上に降ろされたとみられるが、いかだセット (MCS)が埠頭に降ろされたのか海上におろされたのかは不明だ。
なお、象山港にいたISEは4月28日にはプサン沖にいることがわかった。いかだセットが洗浄、再組立てされた後、この船が横浜ノースドックに運ぶ可能性がある。

下図のBが演習の中心海域で、おそらくMCSが展開して事前集積艦から車両が降ろされる海上基地が作られたとみられる。クレーンバージが4月12日からこの海域で動いていた。
WT3隻やLCMとともに広いイカダ状の基地をつくり、また細長い桟橋をつくって、WTが海岸線まで運んで臨時の埠頭にした。

(RIMPEACE編集部)(写真はすべて在韓米軍サイトから)


ポハンで行われた演習CJLOTSに参加した艦船たちの主な動線。Aは停泊したポハン港の埠頭


2013-5-7|HOME|